2020/06/08
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経営幹部・エグゼクティブのためのキャリア&転職を考える
第2回
経営人材の「3つの力」をどう鍛えるか・・・”描く”、”決める”、”やりきる”
- キャリア
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こんにちは。 経営者JP畑です。
昨今のコロナ禍によりリーダーの一挙手一投足に改めて注目が集まっています。
長年、経営人材を研究してきた当社では、以前から経営人材に必要な5つの力(描く・決める・やり切る・まとめる・学び続ける)を提唱してきました。
なかでも企業規模に関係なく(1人の会社から数万人の会社まで)、成果を挙げている経営者は必ず3つの力(描く力・決める力・やり切る力)を保有しています。
今回はこの3つの力にフォーカスし、どのようにすれば3つの力が鍛えられるのかを考察していきます。
その答えは・・・
「百考は一行に如かず」です。
つまり、実際に経営をやってみるということです。
これを言われたら、身も蓋もない感じですが、事実そうなのです。
起業家輩出企業で有名なサイバーエージェント(以下CA)、DeNA、リクルートなどに共通している点は若い時から経営に従事する機会を提供してる点です。
CAには子会社ビズポット社長に20歳で就任したての荒武大翔氏を筆頭に、28歳でCA取締役に就任をした卜部宏樹氏(現 サイバーエージェントビットコイン代表取締役社長)など他にも20代で経営職に従事している方が多数います。 他2社も同じく、リクルートには25歳でグループ会社の代表取締役社長に就任した平尾丈氏(現 株式会社じげん代表取締役)や須藤憲司氏(現 株式会社Kaizen Platform)、DeNAには28歳でDeNAの執行役員に就任をした赤川隼一氏(現 株式会社ミラティブ代表取締役社長)など、とにかく若い時から経営に従事しているのです。
当然、このように若くして経営を任せられる機会ばかり与えられるわけではありません。
しかし、百冊の経営書を読むより、1回の経営経験のほうがやはり経営者としての能力を鍛えることができます。
ではどうすればよいのでしょうか。
私は「バーチャル経営」を実践し、経営人材に必要な3つの力を鍛えることを提唱しています。
バーチャル経営とはその名のとおり、仮想経営です。
バーチャル経営の良いところはあくまで仮想であるため、誰でも・どこでも・いつでも自由にできるという点です。
上記のように実際の子会社経営ができればベストですが、そのような機会に恵まれることも限られています。しかし、バーチャル経営であれば、事業部でも課でも係でも一スタッフでさえも実践は可能です。
では、具体的にバーチャル経営とは何をすることでしょうか。
それは今の立場で与えられている目標より一つ、二つ上のポジションの視点で、範囲を広げた仮想の目標を設定し、達成に向けて動くことです。
(この目標設定の仕方は所属する会社の状況や自身の力量・立場・裁量などによって決めます。)
目標の範囲が広がると、達成のために必要な行動も変わります。行動が変わるということは意識すべきことも変わります。
経営はヒト・モノ・カネのリソースを差配することだと言われることがありますが、
このバーチャル経営では、まさにこのリソース配分の意識・行動を意識的に変えることができます。
非常にシンプルですが、このバーチャル経営を実践することで、確実に経営に近い意識で働くこととなり、結果的に描く・決める・やり切る力が鍛えられます。
例えば、売上達成が目標となっている営業マネジャーは、自身のバーチャル経営上は営業利益を経営指標にします。そうすることで自ずと販管費に意識が向き、これまでとは異なるものの見方をすることになります。 P/L責任を持つ事業部長であれば、B/Sを加味した経営指標を設定し、バーチャル経営を行うことです。利益だけで意思決定をしていた事業部長は資本効率という視点で意思決定をすることになります。時間軸も短期的視点から中長期的視点に変わります。
そうなると結果的に、メンバーに対するビジョンや戦略の提示の仕方も変わります。
実際に動いてみると、できないことも出てきます。
例えば、メンバーの人件費をコントロールする権限がない、予算権限を持っていないなど。
それでもいいのです。今まで考えていなかった領域に意識が向くことで思考の質が高まり、周囲への働き掛けが変化します。
私の知人でこのバーチャル経営を実践している方は、自分に人に関することを決める権限はないものの、そこに意識が向いたことで、今までには考えようもしなかった、所属メンバーの人件費に関する改善提案をされたりしています。
これがまさにバーチャル経営です。
バーチャル経営は、自分自身の立場を意識的に今より難しくすることで、描く、決める、やり切る力を今以上に発揮せざるを得ない手法です。
ぜひ、みなさんも活用してみてください。