2020/04/14
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社長を目指す方程式
第37回
先行き不透明感に克つ 難局を乗り越える「究極の心の持ち方」
- キャリア
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- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
今回の社長を目指す法則・方程式:中村天風 「観念要素の更改」 |
こんにちは、経営者JPの井上です。この原稿を執筆している4月上旬現在、新型コロナの感染拡大は続いており、おそらく少なくともGW頃までは感染リスクへの厳しい対応が迫られそうな状況です。多くの企業が新年度を迎えながら、思うように事業や行事を行うことができません。上司の皆さんも不透明な事業環境や職場状況にストレスを抱えていらっしゃるかもしれません。
しかし、状況を嘆いたり悲観に暮れたりしていても前には進めませんよね。今回はこのような状況に打ち勝つ心の持ち方を説いた、中村天風氏に注目してみたいと思います。
◆戦後に国を動かした大物達の師、中村天風氏
「ごきげんよう、天風です。さて、みなさんがこれから聞かれる話は、そこらで学者が説いている、ここらで識者が書いてるというものじゃない。私、天風自身が、長い人生の中で体験したものをそのまま率直にあなた方に移す話なんであります。」(『心に成功の炎を』)
まるでその場にいらっしゃる師の説法を聞くような、時に講談・落語のような語り口調でお話をされる天風氏の書。これに一時期どっぷり浸かっていた時期が、私にもありました。
1990年代後半、30歳前後の時期、数年間、私はリクルートの新規事業に携わっており、一方では既存事業の企画職・編集職も兼務。出口の見えない暗澹とした気持ちを抱えながら、当時はまだ誰も形にしたことのないネットメディアの設計・立ち上げに従事していました。もともと楽観性の高い性格なのですが、当時は状況についてネガティブな気持ちを抱いたり、そのような状況に置かれていることに恨みつらみを抱いたりもしていたような記憶があります。時代背景的にもバブル崩壊後の閉塞感もあったことが、それに輪を掛ける要因にもなっていたと思います。
そのような鬱屈とした時期に出逢ったのが、中村天風氏の書籍でした。
中村天風氏(1876-1968)は軍事探偵から戦後辻説法を始め、その後自身の会を立ち上げ、政界財界からスポーツ会などまでの大物の師として生きた、その人生自体が小説のような人です。天風氏の考えや活動に影響を受けた人には東郷平八郎、原敬、宇野千代、双葉山、広岡達朗、王貞治、松下幸之助、稲盛和夫が名を列ね、近年では松岡修造さんや大谷翔平選手が天風氏の書を座右の書としていると注目もされました。