2020/03/26
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第66回
会社が、「手放したくない」と思う人が、持つフォロワーシップとは
- キャリア
- ビジネススキル
- 伊庭 正康氏 株式会社らしさラボ 代表取締役
横軸は、「自らが率先する力(協働する力)」です。
言うだけでなく、問題があるなら、役割を超えて、率先して行動するチカラです。これが低い人は、言うだけの人、もしくは言われるまでやらない人、というわけです。
職場に問題を感じる、今のままでは「職場の計画」が未達成になりそうな時、上司や誰かが対策を考えてくれる、と受け身になるのではなく、自分なりに考え、上司と会話をしてみる、それだけでも、「会社が手放したくない」、そんな人物になれるはずです。
◆会社との関係性を整える(「ジョイン」する、というフラットな感覚)
でも、こう思う人もいるのではないでしょうか。そんなことを言える立場ではないし、生意気な奴だと思われないだろうか、と。実際、ある大手メーカーの人からこんな話を聞きました。「上司に嫌われたら、10年は出世できない」そうなると、とてもじゃないけどフォロワーシップを発揮することは難しくなります。余計なことをしない道を選ぶのが正解になってしまうからです。
でも、厳しいことばになるかもしれませんが、ご容赦ください。ある大手企業役員の本音を聞いたことがあります。
「いい人は、どうでもいい人」。つまり、Aさんでも、Bさんでも組織への影響がないなら、人件費の安い人にお願いした方が、筋としては正しい、それがこの役員の言葉でした。(怖い話ですが、リストラ対象にもなりかねない、ということを示唆しています)
背筋がゾっとしましたが、冷静に考えると、確かにそうだろうな、と納得せざるを得ませんでした。
もし、サバイバルの時代、「手放したくない人物」と思われたいなら、マインドから変えることをお勧めします。「上司に嫌われたら生きていけない」のパラダイムを疑うことです。
最近、転職のあいさつ、またSNSでの転職の報告に「ジョインする」という言葉が飛び交っています。まさに、これが時代の空気であり、その会社の“やっていること”が面白いので、その会社に所属するというより、ジョインする、という考え方です。
2003年の古い本ですが、「フリーエージェント社会の到来(ダニエル・ピンク)」という本が一世を風靡した頃から、そんな発想が浸透してきました。内容は、これからの社会は、フリーエージェント(雇用されない生き方)の社会が到来するといった論調でしたが、面白いのはこの本で示唆しているマインドでした。
会社を辞めずとも、フリーエージェント的に働く「フリーエージェント社員」といった選択もある、と説いていた点です。契約は社員契約ですが、マインド、ライフスタイルを「フリーエージェント」のように考えませんか、というものでした。
まさに、会社から自律した考え方ともいえるでしょう。
いかがでしょう。職場によっては、上司にものを言うのはためらわれる、といった雰囲気もあることでしょう。実際、上意下達なので、上司に対してものを言うのは難しいといった声もありますし、なかには、「ウチの上司は考えが古いから」「上司自身のヤル気が低いので」といった声も聞きます。
でも、そこが、あなたの見せ場だと考えてください。確かに、あなたの上司はダメかもしれません。職場は、まだ上意下達かもしれません。でも、あなたが問題だと思うなら、きっとあなたの上司の上司も、または経営者も、変えたいと思っているはずです。
今回は、拙著『トップ3%の人は、「これ」を必ずやっている』で紹介し、私の会社でも人気研修となっている、注目が集まる「フォロワーシップ」のポイントを整理しました。スマートに自分らしさを貫き、それでいて会社にとってなくてはならない存在になる、そんな人材になるための一助になればうれしいです。
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■書籍情報
『トップ3%の人は、「これ」を必ずやっている』
著者:伊庭正康
出版社:PHP研究所
価格:1,650円(税込)
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
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