2020/02/18
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社長を目指す方程式
第33回
他人を動かす究極の説得術 私たちは「理由」に突き動かされる
- キャリア
- ビジネススキル
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
◆クレーム対策に抜群の効力を発揮する物の言い方
要するに、どんな理由でも良いのです。理由があれば、人は安心する生き物。「そうか、わかった」「それではしょうがないな」と“カチッサー”するのが人間なのです。この習性を利用しない手はありません。
そろそろ3月末に向けての年度末感が世の中に漂ってきますが、期末の夜になると、行く道道で道路工事をしていることが多いですよね。予算消化のための公共工事だったりします。
道幅を狭めるため渋滞が発生、当然ドライバー、あるいはタクシーなどに乗り合わせている乗客の私たちはイライラします。そんな時に工事中の道路で見かける看板、「ご迷惑をおかけしております。夜間工事中です」が渋滞中の道路に一定間隔で立てられています。
私たちは夜間の工事中なのは当然その状況から分かっている訳ですが、こう繰り返し「夜間工事中です」と理由を添えてあやまられると、無意識的に「年度末の夜間工事中で渋滞か、仕方ないな」と思ってしまうのです。
遅刻しそうな時には、「申し訳ありません、10分ほど遅れてしまいそうです」ではなく、「申し訳ありません、人身事故で電車のダイヤが乱れ、10分ほど遅れてしまいそうです」と必ず理由を添えましょう。コミュニケーション上手な人は、今回の理論を知らなくても、自然とそうやっていますよね。
これは出勤遅刻の常習犯の社員も、よく使う手です。「電車遅延で」「乗客トラブルで」。いくら“カチッサー”と言っても、使い過ぎにはくれぐれも要注意!ですよ。
◆なぜ経営者や識者は「その理由」を語るのか
できる社長は、人が理由を求めるということを知っています。理由を告げなければ、社員や顧客のモチベーションは低下するということをよく分かっているのです。
それが理由でミッション、ビジョンと言っているわけではありませんが、しかし、社員心理的にも、顧客心理的にも、「我が社はお菓子を売っている」、ではなく、「我が社は明るく会話のある家庭を増やすために、そのきっかけとなるお菓子を売っている」と言うのがグッと刺さるわけです。
本質的なこととして、私たちは意味や意義のあること、社会性や大義のあることに惹かれ、共鳴共感します。同時に、背景や理由がないものには、心理的にも腹に落ちない、納得や共感しにくいというメンタリティがあるのです。