2019/12/16
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成功する経営者は皆、多読家。「TERRACEの本棚」
第82回
学生16000人殺到!老舗「くず餅や」の、毎日が楽しくなる組織改革
- 組織
- 経営
- 大隅 元氏 PHP研究所 第二制作部ビジネス課 副編集長
成功する経営者は皆、多読家。
「TERRACEの本棚」では、成功している経営者が注目している、読んでいる書籍をご紹介してまいります。
今回は、『Being Management 「リーダー」をやめると、うまくいく。』。
本書の編集を手掛けられた、PHP研究所の大隅元氏に見どころを伺いました。
今は空前の「就職売り手市場」。2008年のリーマン・ショック直後に就職活動をしていた人にとって、さぞかし羨ましく映るかもしれません(私もその一人です笑)。新卒採用に苦戦している企業は多く、深刻な人手不足により倒産する中小企業もあるようです。
そんななか、毎年16000人もの学生が入社を希望する会社があります。採用説明会はつねに満席。面接中に感動して泣きだす学生もいる。入社を志願する手紙を書く人までいたそうです。
これが勢いのあるベンチャー企業や高収入を謳っている会社なら、まだわかります。
しかし、老舗の「くず餅屋」と聞いたらどうでしょうか?
「ほんまかいな」と思いますよね(笑)
東京の下町、亀戸天神のすぐそばで「くず餅」を売り続けてきた船橋屋は、文化二年(1805年)創業の老舗企業です。そして、八代目として船橋屋の事業を引き継いだのが、著者の渡辺雅司社長です。
驚くべきは、渡辺社長の就任前と比べ売り上げが2倍、10年で経常利益が6倍となり、事業も順調に推移しているということです。ほぼ「くず餅」だけを扱う商売で、これだけの成長を果たせるのには、単純にスゴイです。
現在では、「くず餅乳酸菌R」を用いたクリニック専用サプリメントや、機能性表示食品の開発・販売に注力しています。さらに、社員の投票によって役員を選出する「リーダーズ総選挙」を実施したり、ツイッタードラマの制作やインスタグラムなど、SNSも積極活用しています。
そんな船橋屋で働く人たちは笑顔が溢れていて、毎日楽しい気持ちで会社に向かっています。各部のプロセス管理も、それまでの社長主導のものから、それぞれが自主性を持ってどんどん物事を進めてくれるようになったといいます。
こうしたポジティブな雰囲気は社外にも伝播します。気がつけば、新しいお客様が増えるだけではなく、多数の学生が入社を志願する人気企業になりました。
しかし、現在の船橋屋に至るまでの道のりは決して平たんではありませんでした。渡辺社長の就任当時は、男女問わずに社内の茶髪率が高いのは当たり前。リーゼント、パンチパーマなどいわゆる「ヤンキー風」が多く働いていました。そしておのずと、トップダウンで指示を下すマネージメントスタイルが当たり前になっていました。はたして、そこから船橋屋はどう変わっていったのか。
詳しくは本書を読んでいただければと思いますが、船橋屋の社員・パートが生き生きと働き出し、勢いが生まれた理由を一言で述べると、本書のタイトルでもある「Being Management(マネジメント、経営)」の実践に尽きます。
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