2019/10/15
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社長を目指す方程式
第24回
部下や顧客の行動を“誘導” 業績を上げるのは「ナッジ」を使いこなす上司
- キャリア
- ビジネススキル
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
さてでは、そのようなナッジを私たちはどのようにすれば導入することができるのか。
ナッジの設計方法としては「BASIC」(Behavior 人々の行動をみる→Analysis 行動経済学的に分析する→Strategy ナッジの戦略を考える→Intervention ナッジによる介入をする→Change 変化を計測する)、実際に選択したナッジが適切なものかどうかをチェックするためのチェックリストとして「EAST」(Easy 簡単か、Attractive 魅力的なものになっているか、Social 社会規範を利用しているか、Timely 意思決定をするベストタイミングか/フィードバックは早いか)などが理論として提唱されていますが、ご興味あり詳しくお知りになりたい方は行動経済学タイトルのビジネス書などを当たってみて頂ければと思います。
◆ナッジに使える私たちの意思決定のクセ
行動経済学が明らかにした、私たちの意思決定のクセには大別すると4つあると言われています。
①確実性と損失回避を求める「プロスペクト理論」
②先延ばし行動など時間割引率の特性である「現在バイアス」
③他人の効用や行動に影響を受ける「社会的選好」
④合理的推論とは異なる直感的意思決定である「ヒューリスティックス」
そもそも私たちの日常は、ナッジで溢れています。私たちは毎日、なにがしかのナッジに行動を促されていると言っても間違いないでしょう。
例えば、私たちはコンビニやスーパーの棚や冷蔵庫で、どこを最もよく見ていて商品を手にする確率が高いかということは心理学的、行動学的に明らかになっています。立っていて目の高さにあるもの、また同じ高さであれば左から右に視線を移しますので、その順番に商品が目に飛び込んできて購買をくすぐられます。
ここで健康志向のお店が、お客さまの健康を考え、目の高さに健康志向の商品や生鮮食品を置くような行為がナッジに当たります。