2019/10/15
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社長を目指す方程式
第24回
部下や顧客の行動を“誘導” 業績を上げるのは「ナッジ」を使いこなす上司
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- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
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こんにちは、経営者JPの井上です。
最近ちらほらと耳にする「ナッジ」、ご存知でしょうか?
ナッジとは行動経済学的知見を使い、人々の行動をよりよい方向へと誘導するものです。ナッジのコンセプトは2008年にシカゴ大学のリチャード・セイラー教授とハーバード大学のキャス・サンスティーン教授により発表されました。
前々回(2019/9/16「逆説的に部下をやる気にさせてしまう“ヤバい”行動経済学」)、行動経済学での幾つかの理論活用をご紹介しましたが、今回は行動経済学が明らかにしている私たちの意思決定の様々なバイアスを行動経済学的特性で望ましい方向に向けるナッジの活用をご紹介しましょう。
今回の社長を目指す法則・方程式: 「ナッジ理論」 |
◆ナッジとは何か?
ナッジで恐らく最も有名な事例は、アムステルダムのスキポール空港の男子トイレで小便器に描かれたハエの絵でしょう。それまで小便器の周辺に撒き散らされた利用者の小便の汚れで床の清掃費が高くついていたことに業を煮やしていた職員が、ふと思いつき小便器にハエの絵を描いたところ、なんと清掃費は8割も減少したそうです。そう、利用者がこの小便器のハエの絵をめがけて小便をするようになったことで、便器の外に小便が撒き散らされることが激減したのです。1999年のことだそうです。その後、この小便器のハエは世界各国に波及しています。読者の皆さんも見たこと(目がけて小をしたこと!)があるかもしれません。「ナッジ」とは「軽く肘でつつく」という意味の英語です。セイラー教授はナッジについて「選択を禁じることも、経済的なインセンティブを大きく変えることもなく、人々の行動を予測可能な形で変える選択アーキテクチャーのあらゆる要素を意味する」と定義しています。
要は、力ずくではなく、そっと優しく、それとなく良い方向へ行動を促す策を指していると、私なりには理解しています。