2019/04/30
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社長を目指す方程式
第12回
狙い通りの結果を手に入れる アリストテレスから学ぶ「3つの会話法」
- キャリア
- ビジネススキル
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
◆評価、意見が会話の目的であるときの会話法
確かに私たちは、非難したい、懲罰したいという目的で会話することもあります。(あまり気分の良いものではないですけれどもね。)あるいは逆に、称賛したい、賛辞を贈りたい!という会話もあります。(こちらが多いほうが良いですね。)
また、仕事でもプライベートでも、自分の考えと相手の意見の一致を見たい、相手の意見自体をはっきり知りたい、もやもやした状況、曖昧な事柄に白黒つけたいというような目的で会話することも多いと思います。
アリストテレスの会話法に習えば、相手の行為などを評価したいなら過去形の会話、自分の価値観に合うか合わないかをはっきりさせたいなら現在形の会話をせよ、です。
アリストテレスは、前者を「法廷のレトリック」と呼び、後者を「演示のレトリック」と呼びました。法廷のレトリックで主に扱われるのは「善・悪」に関する話題で、演示のレトリックで扱われるのは「称賛・糾弾」です。
私なりに少し表現を変えて解釈すれば、何か起きたことなどについて自分のレビューをしたいときには、過去形を使って自分の評価を述べます。「あのプレゼンテーションはとても良かったよ」「今回の商談は、ちょっと頂けなかったな」などなど。過去形は結局のところ、自分の評価〜良かった・悪かった、善だと思う・悪だと思う〜を相手に伝えています。ここには、相手が同じ評価をしているか否かは別として、話者としてのあなたの評価にはもはや議論の余地なし、です。
一方で、自分と相手の評価をすり合わせたい、あるいは相手の評価を聞きたい場合は、現在形で自分の意見やレビューを述べます。「あのプレゼン、僕はとても良かったと思っているけど、○○さんはどう思う?」「今回の商談のでき、あまりに的を外していたと思うぞ」。現在形は、評価や価値観のキャッチボールを行なっています。それが吉と出るか、凶と出るのか(意見の一致を見るのか、対立するのか)は、お互いがどう思っているかの出たところ勝負です。