2018/10/12
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理論で固める経営戦略
第7回
「Nudge(ナッジ)を企業内で活用する」というマネジメント戦略(4)
- 経営
企業での改善効果が大きく期待される「マッピングの理解」
◇最適を選ぶということは、じつはなかなか難しい
前回では、Nudgeによって「①インセンティブ」をより有効にする方法を見てきた。 今回は、企業での改善余地が大きくありそうな施策として「②マッピングの理解」を扱っていく。王道とはいえ、そこには行動経済学のフレイバーがふんだんに散りばめられているので、ぜひ上手に活用していただきたい。
<セイラーのナッジの6つの示唆>(第4回 再掲)
①iNcentives(インセンティブの設計)
②Understand Mappings(マッピングを理解する)
③Defaults(デフォルト設定)
④Give feedback(フィードバックの与え方)
⑤Expect error(エラーを予想する)
⑥Structure complex choices(複雑な選択を体系化する)
経済学では、個人や集団(マーケットなど)が最適を選ぶ(選べる)ことは大きな関心事である。
皆が賢く最適を選んでいけさえすれば、資源が必要に応じて理想的に配分され、それが個人と全体の効用の向上に繋がるからだ(「パレート最適」などを参照)。
前回のインセンティブの項目でも見てきたが、じつは経済学では当たり前とされているこの前提が、実世界では思った以上に難しいという状況がある。
一例をあげると、携帯電話のプランを、すぐに最適に選ぶことはできるだろうか。できる人ももちろんいるだろうが、少なくとも私にとってはなかなか難しい。
基本料金の違い、無料通話時間の設定、複数の条件にまたがる割引制度、データ(パケット)量設定、これに携帯電話端末の月割やポイント加算、解約条件まで加わってくるのだから、なかなか簡単なチョイスではないだろう。
この複雑さはなかなか変わらないとして、賢い選択をするには、やはり料金システムを理解する必要がある。
これが「マッピングの理解」であり、それを助けてくれるNudgeを行動経済学は様々に提案している。
初見/初心者には一見、わかりにくい「地図」が、すぐにわかりやすくなるのであれば、人々の賢い行動を楽に早く(つまり量的時間的コストが小さく)行うことができれば、経済学者も企業家も嬉しいのではないだろうか。
そして、携帯電話の話以外にも、難解な「地図」は至るところにあるのではないか。
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