2017/12/12
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スペシャルコラムドラッカー再論
第102回
マネジメントの「真の」定義。
- エグゼクティブ
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
かつてマネジメントは「人の仕事に責任を持つもの」と定義された、とドラッカーは言う。
「だが、この定義はあまり満足できるものではなかった。満足できたことなど一度もなかった。組織には初めから、明らかにマネジメントでありながら、しかも責任ある地位にありながら、人の仕事に責任を持たない人たちがいた。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)
このことについて、我々は、プレイングマネジャーを想起すれば、ドラッカーが言及していることを容易に理解できる。
マネジメントとは、本来的には「人の仕事に責任を持つ」のではなく、「自分の果たすべき貢献に対して責任を持つ」のである。
「あらゆる組織、特に企業において、今日最も急速に増えているのが、この「組織の成果に責任を持つ者」である。彼らは、「人の仕事に責任を持つ者」、ないしは上司という意味でのマネジメントの人間ではない。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
従って、マネジメントの人間を見分ける基準は、命令権の有無ではない。貢献の責任の有無である。権限ではなく機能がマネジメントを見分ける基準である。
このことは、今言われているITやAIが近い将来人の仕事を奪うという予測・論争においても、そもそも既にその前哨戦としてフラット化している組織階層と構成においても、更にはフリーランスやスペシャリストが多く活用される(されざるを得ない)時代においても、「マネジメントとは何か」を明確化する<福音>であるに違いない。
「マネジメントの人間とスペシャリストとの関係も、マネジメントを責任と機能によって定義することによって、初めてはっきりさせることができる。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)
次回は、マネジメントとスペシャリストの関係を見てみよう。