2016/07/11
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スペシャルコラムドラッカー再論
第34回
事業機会の見つけ方。
- マーケティング
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
リーマンショックのほとぼりが冷めた頃から、にわかに、業種業態を問わず、新規事業関連・事業開発関連での責任者が欲しい、自社内に適任がいない、というトップからのご相談が相次ぐようになり、それはいまも衰えることなく続いている。
「機会は見つけるものという。機会はやってくるものとはいわない。幸運、チャンス、災難が事業に影響を与える。だが、運では事業はつくれない。事業の機会を体系的に発見し、それを開拓する企業だけが、繁栄し成長する」(『創造する経営者』1964年)
現行の事業におけるチャレンジや体制整備からは、新たな事業機会の発見はありえないとドラッカーは言う。どうすれが我々は、新たな事業機会を発見できるのだろうか?
ドラッカーは、次の3つの問いによって、それは明らかになる、と言う。
第一に、事業を脆弱なものにし、成果を阻害し、業績を抑えている弱みは何か。
第二に、事業内においてアンバランスになっているものは何か。
第三に、事業に対する脅威として恐れられているものは何か。いかにすればそれを機会として利用できるか。
そう、機会は「いまある弱みや歪み」の中から発見されるのだ。これは案外、盲点ではないだろうか?
我々は「機会の創出」というと、とかく「ビジネスチャンス」という視点で「新たなニーズ」というものを血眼になって探しがちだが、そうではなくで、いま直面しているマイナスの部分を直視してみよと、ドラッカーは指南してくれている。
「危険や弱みが事業機会の存在を教える。それらを問題から機会に転化するとき、異常なほどの成果が得られる。時にはそのような転化は、マネジメントの姿勢だけでもたらされる」(『創造する経営者』)
“社会や生活の課題解決”に気付き、それを大義として取り組む経営者が、大きな社会変革をもたらす。
我々を取り巻く「不」「負」の部分について目を向けてみよう。
あなたの直面している「危険や弱み」は、何だろう?それに対する、あなたの「マネジメントの姿勢だけで」、今すぐにでも、異常なほどの事業機会が得られるかもしれない。