2017/12/18
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経営者心理学〜現代ビジネスシーンでの、こころの使い方
第4回
「情報化による心の混乱」――ブレない心を持てるよう、経営者は哲学を語れ。(4/5)
- スペシャル対談
- ビジネススキル
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「経営者を語る。」――今回は、作家で心理学者の晴香葉子氏をゲストにお迎えします。
今回の対談では、「ビジネスシーンでの幸福感や社会的孤立」、「経営者として求められる役割」などについて、弊社代表・井上和幸と語り合っていただきました。全5回でお届けします。
晴香 今、傷つきやすい人たちが増えていますよね。例えば、自分の名前を検索してみたり、自分のSNSへの投稿に対してのコメントが気になって、見れば傷つくのに気になってつい見てしまう――という状況があると思います。また、自分に向けられた批判や悪意でなくても、有名人が悪く言われていると、やっぱりコメント欄を見に行ってしまい、嫌な気分になるのに、なんだかずっと検索してしまう。
このような機能のベースは、比較的最近、20万年前くらいから、人間に備わってきたと考えられています。人間の脳の「ブローカ野」という言語を司っている部分がおそらくその頃にできて、自分自身が危険な目に遭わなくても、危険を冒した仲間から、「あそこは危なかった」とか「あそこに行っても食べ物はなかった」など、言語で情報を教えてもらえるようになりました。。そのため、仲間全体の安全性と、生き残る可能性が高まりました。これは大変画期的なことだったんですね。人間というのは、危険に関する言語情報にアンテナが立ちやすく、インターネットでも嫌なことをつい検索してしまいます。
井上 なるほど、わかる気がします。
晴香 今は、情報化社会だからこその「心の混乱」があると思うんですが、テレビやネットやSNSなどにあまりにも多くの情報が溢れていて、どの情報を選択するかで疲れてしまいますよね。情報は溢れかえっているのだけれど、取捨選択が難しく、行動も起こせず、凝り固まってしまう人もいます。そして、ネガティブな情報ばかりを見やすいので、不安や心配ばかりが膨らんでいく。
さらに「評判」という名の社会規範は、農耕がスタートしたぐらいから、みられるようになったのですが、日本では、「村八分」という言葉もありましたよね。クローズしたコミュニティで、社会規範から外れる人を、「あの人はこういう人でここがいけない」と評判や噂を立てることで社会的制裁を加え、その人を正していく、または排除していくということが、日本の村社会にもありました。でも、今のコミュニティは入れ替わりが激しくなって、どこにでも行けるし、どこに住むこともできる。どの社会規範を参照すればいいかも不明確になってきています。さらに、ネットのアクセス数やテレビの視聴率というのが膨大なお金を生むようになったので、敢えて醜聞を流し、「炎上」させる人も出てくる。そうしたことを小さいときから見て育ってくると、「一体何が正しくて、自分はどう生きればいいのか?」という基準を持てない人、見失ってしまう人も出てきます。かつては、そのような若者が社会に出たときに参照していく対象が先輩従業員でもあったのですが、これももうどんどん入れ替わってしまう。アイデンティティが揺るぎやすくなっていきますよね。
井上 企業が丁寧に新人を育てる余裕もなくなっているという事情もありますしね。
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