2021/12/13
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経営幹部・エグゼクティブのためのキャリア&転職を考える
第16回
デジタル化時代に必要な幹部人材の条件
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こんにちは、プラットフォーム事業本部の佐藤志保です。プラットフォーム事業本部では毎日のように経営者にインタビューをして経営者の声を聞いています。
今回はそこで最近、共通して多く出る幹部人材の条件についてご紹介します。
デジタルが苦手な幹部が、会社のIT化・DXを阻害する
インタビューの中で経営者に対して「必要な幹部人材に求める人材はどのような人か?」という質問をするのですが、ある”答え”がアフターコロナ以降でかなりの割合を占めるようになりました。それは「デジタル化に対応できる人」という答えです。
ベンチャー企業の経営者も今年で開業4半世紀を迎える企業の経営者の方も、ほとんどの方が口を揃えてこうおっしゃいます。
デジタル化が進む時代に、会社をデジタルネイティブ化するIT人材の確保はマストです。会社の資産となるデータを貯め、その分析からさまざまな課題解決をするためにも、デジタル化に対応できるIT人材が必要となります。しかし、このデジタル化を進める上で、デジタルに得意ではない幹部人材がIT化の動き、IT人材の取り組みを阻むケースがあります。
従業員規模300名の企業が営業ツールを導入したときの話です。
その企業は今まで見込み客、予実管理をエクセル上で管理している会社でした。DXに詳しい従業員が主導となってSaaSの導入を検討し、そして最終的に従業員全員にiPhoneを配ることでスマホとパソコンからアクセスできる営業ツールを導入することにしました。しかし、iPhoneを配ってもスマホの操作に慣れない幹部が進捗や実績の確認ができず、仕事が社内でうまく噛み合わなかったのです。
このケースでは、従業員が自ら主導となって動いているIT化を幹部層の不理解から失敗させてしまいました。
また、これはある上場企業の話です。
ある経営幹部が電子稟議システムを導入しようとしたのですが、システムに詳しくない幹部に配慮しすぎてしまい、ボタンひとつで使えるように仕組み化されたシステムにできたはずなのにExcelの運用部分も残してしまい、思ったより効率化することができませんでした。
このケースでは、デジタルが苦手な幹部のことを過剰に気にしてしまい改革を進めることができませんでした。
このようにデジタル化時代には、幹部人材がデジタルに対応しなければならない場面が発生します。幹部人材が新しいものと向き合い、そのシステムを理解しようという気持ちさえあれば、全社の生産効率は倍速で加速していきます。デジタルに得意な人がシステム導入を推進し、幹部人材の立場においてもそのシステムに対応できる人材がいま必要とされているのです。
デジタル化時代に、幹部に求めたい3つの意識
どうでしょうか、御社ではうまくいかなかった幹部人材・組織のケースに心当たりはないでしょうか?このような問題に対処していくためにも、これからの幹部人材には以下の3つの意識を求める必要があります。
1)新しいものに抵抗がないマインド
年齢を重ねていくと知識や経験が増えていきますが、知らないものや経験したことがないことに関してネガティブな感情を持ってしまうことがあります。その感情を新しいツールやサービスに対して向けてしまうとデジタル化による効率化を進めることはできません。新しく使われるツールには使われる理由があります。まずは使ってみて既存のものより優位な点を人より早く見つけることが重要です。
私がお会いする経営者で50代や60代の方のiPhoneのホーム画面を見せてもらうと新しいアプリでページがいっぱいだったりします。自分の子供や若い部下が新しいものを使っているのを見るとすぐにインストールされるそうです。新しいことにネガティブな感情があるなという幹部には、例えばランチにいつもの店に行くのではなく、行ったことのない新しい店に行くことを推奨してみるようなことから始めてみてはいかがでしょうか?
2)運用まで持っていけるリーダーシップ
会社の組織全員がデジタルに対して得意であれば、後は進めるだけです。しかし、人には得意不得意があり大きな組織になればなるほど、デジタルに対するスキルの振れ幅も大きくなります。そのような状態でツールを導入してもうまくいかないので、これを乗り越えて運用まで責任を持って進めていけるリーダーが必要です。例えば、紙芝居のようにわかりやすいマニュアルを作る、成果が出てくるまで1週間おきに運用状況についての5分ヒアリングをする、もしくは社内にサポートセンターを置く、など。上層部も巻き込んで、このような取り組みを推進できる幹部を抜擢しましょう。
3)デジタル資産に対する意識
更なる高みを目指すには、中核幹部のデジタル化への意識の高さが必要です。
デジタル化はデータを貯めることに価値があります。デジタル化されたデータは10年後、20年後も残り続け会社の資産となります。しかし、意味のあるデータとして残らなければ、あとあと価値を見出すことができません。スキャンされたデータと最初からデジタルデータとして入力されたものでは検索性や統計的処理のかけやすさが全く異なります。
数年後を見据えた意味あるデータを保存する意識を会社全体に持たせることのできる幹部の存在は、御社がDXをさらに加速させるために必須です。
新しいものに抵抗がないこと、導入から運用までリーダーシップをとれること、そしてデータに対する意識を持っていることはデジタル化時代に必要な幹部人材の条件です。新しい取り組みに抵抗を持つことなく推進していく心がけをもっている幹部人材が御社にどれだけ存在するか。
お読みの皆さんの中で、幹部としてご活躍の方々においては、会社の資産をデジタル化することを主導できる幹部人材への第一歩はイメージできましたでしょうか。デジタル化時代に乗り遅れないよう、日頃の意識から気を配り業務を推進いただければ幸いです。