TOP 経営幹部・エグゼクティブのためのキャリア&転職を考える ジョブ型になった際にキャリア形成のテーマは変わるのか?

2021/12/03

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経営幹部・エグゼクティブのためのキャリア&転職を考える

第15回

ジョブ型になった際にキャリア形成のテーマは変わるのか?

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ここ数年、「ジョブ型雇用」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
新卒採用においての導入事例などが話題となり、数々のメディアで取り上げられ、従来の日本的なメンバーシップ型雇用との違いやその是非について賛否両論が繰り広げられています。

 

いずれの雇用形態も当然のことながら、それぞれメリット・デメリットがあることは、各メディアで取り上げられている通りですが、この記事をお読みの経営幹部層の皆さんにとってはどういった影響があるのか。
今回は日ごろご支援させていただいている経営幹部層の転職活動において両者がどういった形で関係してくるのかといったテーマでお話させていただきます。

仕事に人をつけるジョブ型と人に仕事をつけるメンバーシップ型

まず両形態の前提となる考え方は下記のようなものです。

 

ジョブ型は、適材適所の考え方で、専門性のある人材を明確な職務内容を元に雇用し、成果に対して報酬が紐づく考え方です。役割や職務をジョブディスクリプションに明文化でき、それにマッチする方を採用・登用するため、入社後のミスマッチを少なくできるという利点があります。

 

一方で、メンバーシップ型は年功序列的な考え方で、ジョブローテーションとして会社側の判断で複数部署を経験、異動が発生することがある一方で、事業撤退や部門の閉鎖により社内に仕事がなくなったとしても別部署への配置換えが行われ、専門性の無い部署での稼働になったとしても職能のグレードに紐づいた報酬がベースとなる仕組みです。そのためゼネラリストの育成体系としては適しており、帰属意識やカルチャーフィットを以て同じ会社に属し、柔軟かつ総合的に価値を生んでいく我々にとっては非常になじみの深い仕組みです。

 

ミドル・シニア層の転職における雇用タイプ

私は日々、経営幹部層のみなさんに対して、転職という方法でキャリア形成のご支援をさせていただく中で、キャリア面談時に「今回の転職ではどういったチャレンジをしたいのか。」「今後築いていきたいキャリアや転職のテーマは何か。」といった観点からお話をお聞きしていますが、転職をスムーズに終えていく方と、苦戦して思うように進まない方とでは明確に差があります。

 

それは「これまで能動的にテーマをもってキャリアを形成してきているか」という点です。

これまでの長いキャリアを振り返った時に新卒時から一貫している必要は当然ありません(もちろん初志貫徹は素晴らしいことですし、あまりに変化が多すぎてもいいものではありません。)が、各ターニングポイントごとで、どういったテーマを掲げ、どういった想いで、どういった働きをしてキャリアを築いてきたかという自身のストーリーを話せるか。またこれから自身がキャリアの中で何を実現したいか(何を大切にしたいか)といったことが話せるかという点は、転職をキャリア形成の手段としてうまく使いこなせる経営幹部の方々に共通しています。

 

ミドル・シニア層の幹部採用においては、採用企業側には採用を通して解決したい明確な課題や、採用した人材に入社後に任せたい明確なミッションがあります。そういった課題解決に対してどの程度コミットして活躍してもらえるのかといった観点は当然のことながら採用の大きな軸となっています。

採用企業側には中長期的に取り組んで解決してほしい課題があり、採用の意思決定時には「何ができる人なのか」また「何をしたい人なのか」といった観点が重視されます。そういった意味ではミドル・シニア層の採用は「ジョブ型雇用」といったとらえ方ができます。

 

キャリアのテーマのない転職活動はNG

転職支援のご面談時にキャリアのテーマについてお伺いすると

「これまでの経験を活かして将来的に経営に携わっていきたい」

「安定した基盤のある企業で自分に貢献できる側面から成長に寄与したい」

「これまで幅広く経験を積んできたからゼネラリスト的に任せられたことをやり切って貢献したい(言われたこと、求められたことに対しては成果でお返しできます!)」

などという回答をする方は少なくありません。

 

こういった回答をいただく方に多い転職活動の理由としては、「現在より上の役職や立場を目指したい」「経営基盤の安定した企業で働きたい」といったことが多く、大手企業でのメンバーシップ型雇用において、会社から与えられた役割を十二分に全うし、成果を出すことで次の役割を与えられるという成功体験を繰り返してきた方が多い傾向にあります。

 

成果を出すこと自体は素晴らしいことですし、一定以上の成果を出すために仕事の取り組み方として能動的に働いてきたのだということも想像はできますが、成果を出せば会社が役割を用意してくれるといった考えがあり、ご自身の将来の方向性を決めるキャリアのテーマを深く考えてこなかった方は、自身のキャリア形成に対して能動的ではなかったということができるのです。

 

社格を意思決定の軸に置いたり、組織からあたらえられた役割を全うしたいといった価値観をもったりすること自体は、ある種「メンバーシップ型」志向といったことが言えるかもしれませんが、先述の通りミドル・シニア層の転職において求められるのは「ジョブ型」志向であるため、自身のキャリア構築に対しては明確なテーマを持ち能動的な姿勢をとるべきだと言えます。

意思決定の軸は「ジョブ型」と「メンバーシップ型」との「ハイブリッド型」

これまでミドル・シニア層の転職には「ジョブ型」の志向が重要であると話を展開してきましたが、入社の意思決定の際にはほかに重視するべき点があります。

それは新天地(内定先)が自身のパフォーマンスを存分に発揮できる環境であるか否かという点です。

 

前回の転職からまだ半年も経過していないのに転職のご面談を希望される方は少なくなりません。そこで耳にするよくある早期退職の理由として多いのは「役職のわりに裁量権がなく思ったように業務遂行できない」「上司と合わない、職場の人間関係がよくない」といった類のものです。

 

こうしたことを防ぐためにも、裁量権の持ち方と組織文化へのアンマッチは入社後の職務内容と同等に確認を怠ってはいけない重要な要素です。

ある面で「メンバーシップ型」といったとらえ方になるのですが、自身のパフォーマンスを100%以上に発揮できるかどうかは個人だけの問題ではなく、一緒に働く人も含めた組織へのフィット感、信頼されてどのくらいの裁量を任せてもらえるかといった外的な要因が大きく影響します。

 

転職活動時に持っておくべきキャリア構築のテーマは「今後のキャリアで何がしたいか(何を大切にしていきたいか)」といった側面に加え「どんな業種、どのような組織(フェーズ、カルチャー)で、どの程度の裁量をもって任務遂行にあたりたいのか」といった「ジョブ型」と「メンバーシップ型」との「ハイブリッド型」であるべきだと言えるのです。

 
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