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2020/03/26

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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術

第66回

会社が、「手放したくない」と思う人が、持つフォロワーシップとは

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今、私は、年間200回程度の企業研修に登壇しています。すると、受講者から、こんな声を聞きます。   自分は、一緒懸命に頑張っているほうだ。指示にも従い、人事考課もよい。でも、あまり報われていない気がする。出世も早くないし、何が足りないのでしょうか……。   先に答えを言いましょう。答えは「フォロワーシップ」にあります。   フォロワーシップとは、上司自身にスキルの不足や見えていない盲点があるなら、参謀のようにサポートする姿勢のこと。中堅が、上司の言うことを聞き、マジメに頑張ればいいといったマインドでは物足りない、というわけです。

上司が中堅以上の部下に求めるのは、従順さではなく、組織や周囲への影響力なのです。

 

でも、ここに気付いていない人が多いのが現実で、そんな背景もあり、このフォロワーシップをトレーニングする研修に企業が注目しているのです。私の研修会社にも、多くの相談が寄せられます。

 

今回は、拙著『トップ3%の人は、「これ」を必ずやっている』で紹介しているフォロワーシップのポイントを整理しました。スマートに自分らしさを貫き、それでいて会社にとってなくてはならない存在になる、そんな人材になるための一助になればうれしいです。

 

◆今、フォロワーシップの高い人材にチャンスは集っている

フォロワーシップとは、メンバーが、上司をサポートする姿勢を言います。

 

フォロワーシップの重要性に注目が集まったのは、カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授が、著書『The Power of Followership(1992年)』で初めてこの概念を「フォロワーシップ」という言葉で表現したのが始まりです。組織の成功の8割は部下のフォロワーシップによって決まる、とまでロバート・ケリー教授は言います。

 

私の本でも紹介したのですが、最近では、こんな事例があります。みずほ銀行で、34歳(9年目)の支店長が誕生したことがニュースになりました。背景には、ゼロ金利、フィンテック、もはや既存のルールが崩壊する中、新たな勝ち筋を見いださないと生き残れない。年齢や社歴なんて言っている場合ではないのです。実際、みずほFG社長・グループCEO(最高経営責任者)の佐藤康博氏も、中期経営計画の発表の場で「年功序列を崩す」といった旨の発言をしています。

 

もちろん、抜てき人事は、みずほ銀行だけではありません。部長職は40代が当たり前の日本マクドナルドでも、28歳の執行役員が誕生しています。抜てきされた人は、インタビューでも、このように答えています。「(新卒で入社し、その頃より)毎日、毎日、呪文のように、“会社を変えたい”“会社を変えたい”って唱えながら仕事をしていた記憶がある」

 

さて、いかがでしょう。抜てきされた人材の共通点は、既存のルールを変える、そんなエネルギーを持つ人材なのです。

 

◆フォロワーシップを高める、2つのチカラ

でも、自分は「そんな高い意識を持てていないかも」と思ったかもしれません。安心してください。最初から持てている人は3%しかいません。ここでは、私が多くの大手企業で実践し、効果の知見を得られている「フォロワーシップの高め方」を紹介していきます。

 

ベースとなるのは、ロバート・ケリー教授の理論。まずは、次の図をご覧ください。2つの軸で構成される、5つの「フォロワーシップ」の類型に分かれています。
2つの軸で構成される、5つの「フォロワーシップ」の類型
 

つまり、この2つのチカラを高めればフォロワーシップを高めることができるのです。

 

まず、縦軸のチカラは、「上司に提言をする力」です。

 

これは、職場の問題や、事業やサービスの問題があれば、臆することなく上司に問題提起を行い、その上で対策の提案をするチカラを言います。

 

逆にこの軸が低いと、上司の言うことは絶対であり、多少の違和感があったとしても、取りあえず従うといった状況を指します。

 

 

プロフィール

  • 伊庭 正康氏

    伊庭 正康氏

    株式会社らしさラボ 代表取締役

    1991年リクルートグループ入社。
    営業としては致命的となる人見知りを4万件を超える訪問活動を通じ克服。プレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で、年間全国トップ表彰4回を受賞、累計表彰回数は40 回以上。

    その後、営業部長、フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。 2011年らしさラボを設立。
    リーディングカンパニーを中心に、年間250回のリーダー研修、営業研修、コーチング、講演を行っている。リピート率は9割を超える。

    著書は、『計算ずくで目標達成する本(すばる舎)』『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ(PHP研究所)』『強いチームをつくる!リーダーの心得(明日香出版社)』『残業ゼロだからこそ目標達成!!本気でやるチーム時短術(明日香出版社)』など多数。

    その活動は、日本経済新聞、日経ビジネス、など多数のメディアでも紹介される。

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