2019/03/18
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私が経営者になった日
第11回
【ホッピー 石渡氏】経営者になったという確信はありません。(1/5)
- キャリア
- 経営
- 経営者インタビュー
- 石渡 美奈氏 ホッピービバレッジ株式会社 代表取締役社長
【vol.1】経営者になったという確信はありません。
【vol.2】見る世界が変わる、見えるものが変わる。
【vol.3】人の無限の可能性を信じる。
【vol.4】自分の思う理念の具現者を育てる。
【vol.5】命をつなぐ食とお酒を世界へ。
●成長が止まったら現状維持ではなく退歩
創業114年、主力商品ホッピーが発売71年目となる老舗企業。その世襲3代目として創業100年目に社長となった石渡美奈さん。社内に改革を起こし、一時は8億円にまで落ち込んだ売り上げを40億円に伸ばしてきた。「社長になって9年目になりますが、経営者になったとの確信は、まだできていないのです。肩書としては言うけれども、『経営者である』なんてまだまだおこがましくて、とても言えないなというのが本音です。」
と言う石渡さん。確信が持てないのは『経営者とはこうである』という何かの形が彼女の中にあって、それに達していないからではない。 「経営者になるということは、かたちのないものを追いかけているのだと思うのです。もちろん今でも経営者というものを分野ごとに、ここの部分、この分野はこの方にと、教えてくださっている方、教えを請いている方はたくさんいらっしゃいます。」
教えを受け、尊敬している経営者はたくさんいても、この人を経営者として目指しているという師匠は、正直言って今はいない。
「これは多分、私が死ぬときまで答えは出ないのだと思います。私の魂がこの肉体を離れる瞬間に残したものが、『今世、石渡がつくった経営者の形とはこうだったんだろうな』という感じです。多分、私が経営者である、こういう形であるって決めた瞬間、成長がなくなると思っているんですよね。それはもう傲慢になることですし、私の成長が止まること。止まるということは、現状維持ではなくて退歩だと思っているので。だから、いわゆる自分は経営者になった、という気持ちが導くであろう満足感みたいなことを、一切排除しているという感じですね。」