2016/12/05
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スペシャルコラムドラッカー再論
第53回
「現在と未来」、「成果と効率」。(続)
- エグゼクティブ
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
成果が上がる事業であることが繁栄の大前提。効率はその後の条件。
いまの事業が繁栄しなければ元も子もない。しかし、いまとは違う「明日の繁栄」について、並行していまからしっかり考えておかねばならない。
あれもこれも、だが、「あれもこれもの重要性」を、事業を営んでいると常に身につまされるものだ。
「明日の事業をつくるための活動は、明日の事業は今日のそれとは異なるものでなければならないとの確信のうえになされる。だが、スタート地点は今日の事業である。明日の事業はひらめきによって得られるものではない。それは今日の仕事の分析によって得られる」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)
ドラッカーは『マネジメント』の冒頭(全61章中の第4章部分)で、マネジメントの役割について、それは目的ではなく手段にすぎないのだということを再三強調(警鐘)している。
世のマネジメントの書が、あたかもマネジメント技法そのものを独立した価値があるかのように語ることに、嫌悪を感じているような話しぶりが多く登場する。
ドラッカーが実践の人であったことを物語るところであると感じる。
我々経営者は、マネジメントの仕事、人、スキル、組織といった“手段”に強い関心を持ち、学び、実践しなければならない。
しかしそれはあくまでも、顧客にとっては、我々がいかに役立ち社会に良い事業・商品・サービスを提供するのかという“結果”のための手段に過ぎない。
「(マネジメントの仕事と組織は)果たすべき役割によって決定されるものである。<組織の構造は戦略に従う>。これこそ最も重要な洞察である。目的、ミッション、目標、戦略なくしては、マネジメントの人間をマネジメントすることも、組織構造を設計することも、マネジメントの仕事を生産的なものにすることも不可能である」(『マネジメント—課題、責任、実践』)