2016/01/25
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スペシャルコラムドラッカー再論
第10回
企業の現実(前編)
- マーケティング
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
ドラッカーを学び始めた(読み始めた)20代の頃、衝撃を受けたのがこのフレーズだった。
「え?会社は人と組織と工場などのハードがあって利益を上げているんじゃないの?」、企業の中にプロフィットセンターがない?どういうこと?
「成果と資源は企業の内部にはない。いずれも外部にある」「技術、販売、経理のいずれも、活動があってコストを発生させることだけは確実である。しかし成果に貢献するかはわからない。成果は、内部にいる者や、企業の支配下にある者によって極められるのではない。市場経済における顧客、統制経済における政府当局といった外部の誰かによって決められる。企業の活動が、成果を生むか無駄に終わるかを左右するのは、企業の外部にいる者である」(『創造する経営者』)
活動しなければ事業成果は生まれないが、活動したからといって事業成果が必ず生まれるとは必ずしも言えない。営業活動したからといって、必ず受注できるとは限らない。1ヵ月、半年、1年、受注売上ゼロかもしれない。一方、その間、営業活動にまつわるコスト〜営業マンの人件費、活動経費、販促費、、は、活動に応じて必ず発生する。プロフィットは未確実、コストは確実。
この現実に対する認識が薄い経営者、社員が、あまりに多いと、ドラッカーはまず指摘する。
企業が今日行うべき仕事は3つある、とドラッカーは言う。
1)今日の事業の成果をあげる
2)潜在的な機会を発見する
3)明日のために新しい事業を開拓する
これら3つには、異なるアプローチが必要だが、切り離すことはできず、なによりも、これらは「今日」おこなわれなければならないのだ。
どうすれば、上記を並走させ、それにより、コスト<プロフィット を実現できるのか?
鍵は、「問題ではなく、機会」「自社の商品・サービスではなく、顧客」にある。
(続く)