2024/04/04
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第186回
迷っている皆さんに、これからの営業部長の戦い方
- キャリア
- ビジネススキル
- 北澤 孝太郎氏 東京工業大学大学院 特任教授(MBA科目の営業戦略・組織を担当)東北大学未来型先端医療創造卓越大学院プログラム 特任教授 株式会社フォーサイト 社外取締役
今でもセールス行為(契約やその成立に向けた交渉など)は、営業行為の大切な一部ですが、多くのものは、供給過多の時代になったのですから、それを扱う人は、消費者に主導権が移ったことを認識し、セールス行為より好印象を与えたり、顧客の成功にかかわることが重要になったと考えます。
つまり、本来のビジネスの状態に戻ったと認識すればいいのです。だからこそですが、営業に求められるものは、顧客もそれを取り巻く者やこちらサイドも納得して腹落ちできる相互の満足(それぞれの心配や憤りを解決できる行為、知識、能力)を引き出すことに変わっています(戻ったとも言えます)。これを私は、ビジネスメイキングという言葉で本書でも繰り返し著しています。今こそ、営業パーソンは、単純なセールス行為をあらためて、ビジネスメイキングができる人材に変わらないといけないのではないでしょうか
これから営業の責任者になる皆さんへのメッセージ
――これから営業の責任者(多くは営業部長)に何か言いたいことはありますか。
自信を持ってください。ビジネスにおいて、一番実力があるからこそ営業部長になったわけですから、これからもビジネスの最前線で仕事をしてください。この書を読んで、あなたのやるべきことさえはっきりしたら、間違いなくあなたが組織を引っ張っていくのです。ビジネスの最前線にたち、外部統合を繰り返してイノベーションのネタを社内に持ち込む、そして内部統制ができる営業課長を育て、彼らに委譲できるまでの間、自身が役員になったらこれをやるあれもやるというものを探しながら、会社の代表として頑張って下さい。
間違っても、大課長にならないように。そして、調整役としての管理職にならないように。コンプラ委員長という汚名を着せられないように。あなたの成長こそ、皆のモチベーションの源であり、その成長の仲間意識こそが、コミュニケーションを活性化させるということを忘れないように。
あなたが、その組織で一番人がやりたがらないことを引き受ける(陰徳を積む)存在であるように。そして、いつまでもその会社のビジネスの先頭打者としてのレギュラー(代表選手)である実力と名誉を守ってほしいと思います。
――本書の狙いと込められた「思い」について教えて下さい。
自身の経験でも、営業課長になったときは、なんとなく何をすればよいか分りましたけれど、営業部長になったときは、何をすればよいか全く分らず、とても困りました。その結果として、そのときの部下だった人には、ものすごく迷惑をかけたような気がしています。
もっと事業運営をうまくやれたのではないか、もっとみんなが成長できるように寄り添えたのではないかと、今思い出しても歯痒さで一杯です。まして、昭和のイケイケドンドンの時代から、ものすごく繊細に考えないといけない時代の転換点に、新しくその役職に着く皆さんは、とても困るに違いない。周りを見渡しても、先生になってくれるような上司も見つからないのではないか。
だからこそなのですが、彼らが何をすればよいか、少なくとも多少の筋書ができるような本を出して、応援歌としたいという「思い」で、この本を書きました。書き方は、論理的な内容を理解するのが得意な人には本文を、また情緒的な内容がないと理解が進まないという人には、寺山真司の奮闘記をという二段構成にしており、普段あまり本は読まなくても理解が進むような構成にしています。
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■書籍情報
決定版 営業部長の戦い方 単行本(ソフトカバー)
著者: 北澤 孝太郎
出版社:明日香出版社
価格:2,090円
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
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