TOP ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術 部下を育てる、Z世代攻略コミュニケーション法

2023/12/21

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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術

第177回

部下を育てる、Z世代攻略コミュニケーション法

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「最近の若者は」と言っていても始まらない人材育成。若手人材からの不満の声と企業からの求める声。ここに人材育成のヒントがある。

10年以上前からずっと会社の退職・転職理由は「社内の人間関係」です。   企業側にも「新入社員に求めるものは?」と質問をすると必ず「コミュニケーション能力のある人材」と「コミュニケーション」というキーワードが出てきます。   若手人材からの不満の声と企業からの求める声。ここに人材育成のヒントがあるのです。

今の若者を取り巻く学校教育

「最近の若者は」と言っていても始まらない人材育成。まず彼らが育ってきた学校教育の今はどのようなものでしょうか?

呼称を全て「さん」に統一

現在の公立小学校はすでに2016年から男女関係なく「さん」で呼称統一されるようになりました。これは性差をなくすという意味や本来の自認している性別と呼称のアンマッチを防ぐ意味からスタートしました。このような環境下で現在の若者には男だから女だからという概念はますますなくなっていくでしょう。
 
また、私自身保護者として子どもたちの授業参観に行った経験がありますが、実際に先生が「さん」で子どもを呼ぶことで何となく先生と子どもの「距離感」については違和感を覚えました。ただ、違和感を持ったのは私が40代だからで、きっとこれが今後のスタンダードなのでしょう。

順位を決めないマラソン大会

私が小学校、中学校の時のマラソン大会といえば距離が決まっていてスタートラインから一斉に走りはじめゴールでは1位から順位を決めるのは普通でした。現在高校1年の息子が小学校5年生くらいの頃にマラソン大会が一変したのは衝撃的でした。
 
マラソン大会ではなく「記録会」と呼んでいたように記憶しています。要は時間で20分と決めて一斉にスタートし学校の校庭のトラックをぐるぐる走ります。20分たったところで終了。それぞれが何周走れたかを先生に申告します。親が見に行っても誰が1位かはよく分かりません。
 
要は順位を決めないのです。特に公立学校においては学力、運動においても順位を決めない傾向は今後ますます増えていくのではないでしょうか。

自責と他責

40代、50代の管理職者と話していると若手社員について「自責が足りない」「仕事が自分ごとになっていない」という声をよく聞きます。自責とは自分の責任、自分のこととして行動する、考えるという意味ですが、まず「自分ごと」をさらにかみ砕く必要があります。
 
それは「自分が変わらなければ(成長しなければ)いけない≒周りは自分に合わせてくれない」と思うことです。実は今の学校教育にはこの環境がとても少ないように思います。例えば「クラスの〇〇さんとけんかしたからもう学校に行きたくない」と生徒が家庭で言ったら学校の先生はどうするか? 実際に聞いた例ですが、連絡がきたその日にクラスで席替えを実施したそうです。
 
今は家庭が簡単に学校にクレームを入れる時代です。親が学校に「対応しろ」と求める時代です。その学校で育った子どもたちは「自分が変わらなくても周り(学校や先生)が対応してくれる(変わってくれる)」という環境で育っています。果たしてその子どもたちに社会に出て「自責」という言葉で彼らに気付きを与えることはできるでしょうか。

プロフィール

  • 野本 理恵氏

    野本 理恵氏

    株式会社Nomoto Consulting 代表取締役

    沖縄県生まれ。中央大学文学部卒業。会計事務所職員として10年間、法人税務業務を担当。2012年、税理士法人の経営支援室(コンサルティング部門)にて経営コンサルティング業務に従事。2017年4月、税理士法人を退社、コンサルティング会社を設立し独立。事業計画の立案とモニタリング、経営会議、営業会議に参画。現在は、上場企業の社員研修外部講師も務める。目標達成のためのPDCAのしくみづくりやモニタリング手法の企業導入、近年ではM&Aや廃業支援にも従事。埼玉県労務経営協会主幹、三成研機株式会社 社外取締役。

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