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2023/09/28

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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術

第165回

成功している経営者はなぜ神社好きが多いのか?

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経営者が特に神頼みに積極的なのは、データから明らかだ。これだけ行く人が多いと、神仏の力を頼るのは経営の裏技といっていいかもしれないが、いったい神社やお寺で何を願っているのだろうか?

経営者の8割はよく神頼みする

フリーアナウンサーの田中みな実さんによると、成功した経営者との食事会あるあるは「あそこの神社いいよ。知ってる? めっちゃ気もらえるから」「俺は本当に運が良かった」。これはテレ朝の人気番組『あざとくて何が悪いの?』のABEMAスピンオフで放送された一幕です。インスタのハッシュタグ「#成功者とのお食事会あるある」で検索すると、当該シーンが視聴できます。   本当に経営者は神社好きが多いのでしょうか? 自信家の多そうな経営者が神頼みするのはイメージに合わないと思う人もいそうですね。   実はもっともよく神社仏閣に参拝する職種は「会社役員・経営者」です。

2018年にまちづくりや再開発を手がけるプラネットが3792人を対象に実施した意識調査によると、80%の「会社役員・経営者」が神社とお寺のどちらかないし両方によく行くと回答しました。他の職種では、定年退職者76%、会社員68%、自営業67%、専業主婦(主夫)67%、公務員66%、自由業64%、パート・アルバイト60%、無職53%(以上、小数点第1位を四捨五入)。
 
経営者が特に神頼みに積極的なのは、データから明らかです。これだけ行く人が多いと、神仏の力を頼るのは経営の裏技といっていいかもしれません。いったい神社やお寺で何を願っているのでしょうか?
 
上記調査では、職種別に「どんな願掛けをするか?」も報告されています。神社では安全(家内・交通)を願う人61.2%、健康運50.7%、開運・運気上昇49.8%、金運25.5%、平和10.9%、合格10.5%、恋愛・縁結び9.2%。また何も願わない人が11.8%でした。
 
会社役員・経営者の特徴をあげると、開運・運気上昇と金運を願う人が最も多い職種で、開運・運気上昇58%、金運32.1%で、上昇志向と金銭欲が特に大きいといえるでしょう。逆に合格3.7%と恋愛・縁結び2.5%は、最も低い職種でした。合格と縁結びはそれだけ自信があるのか、関心が低いのか?
 
その他の職種だと、会社員は、健康運を願う人が少なめで45.1%、開運・運気上昇を願う人が多め55.3%、恋愛・縁結びを願う人は最も多い職種13.6%でした。お金よりも愛が欲しいということでしょうか。
 
公務員は全体的に低めで、健康運を願う人が最も少なく42.3%、金運を願う人も定年退職者に次いで低い18.3%でした。公務員は安定した待遇のためか、全体的に欲が低い傾向です。また無職の人は、何も願わない人が最も多い職種22.5%で、何も願わないから、職も得られないと推察できます。

成功している経営者は意外と不幸。だからこそ神頼みが効果的

なぜ経営者はよく神仏に頼って参拝するのでしょうか? 参拝した人自身は自覚が無いかもしれませんが、結論からいえば、「信じる力」がつくからです。
 
実はお金持ちは意外と不幸なのをご存知でしょうか。成功した経営者はもちろんお金持ちになります。収入は一般的に多い人ほど、幸福度が高くなりそうです。それは間違いでは無いのですが、同時に幸福度が高くなるのは、あくまで「一定の収入まで」。各種調査によると、年収500万~1千万円程度で幸福度の上昇は頭打ちと報告されています。
 
経済学者の筒井義郎博士らの2005年調査では、年収500万円までは収入が増えるほど幸福度は上がるが、500万円以上から900万円までは横ばい。そして年収1500万円以上は、逆に収入が増えるにつれて幸福度は少しずつ下がると報告しています。2019年の内閣府調査も同様の傾向で、最も生活満足度が高いのは年収2000万以上~3000万円未満の人たちで、3000万円以上になると満足度はどんどん下降します。年収1億円以上の「最富裕層」の満足度は、年収700万以上~1000万円未満の人たちよりも低いと報告されています。
 
私はこのデータを見て、「だから成功した経営者ほど、神仏に祈願したくなるし、その効果を肌で感じるだろうな」と思いました。というのも、神社仏閣の参拝効果が、成功した経営者の「幸せじゃない問題」を解決するからです。
 
以前、拙著『成功している人は、どこの神社に行くのか?』に記した私の調査で、年収1500万円以上で、神社参拝する人と、しない人を分けて、幸福度を比較しました。すると、神社参拝する年収1500万円以上の人は、他の年収の人より幸福度が高いです。逆に参拝しない年収1500万円以上の人は、年収500万円以上(~1000万円未満)で年1回以上神社参拝する人よりも幸福度が低く、また年収500万円未満で神社に年2~3回参拝する人よりも幸福度が低くなりました。年収1500万円以上の人でも、神社に参拝しない人は、日本人の平均的な幸福度にも満たなかったのです。
 
経済学者の大竹文雄博士らの調査によると、子供時代に寺院・地蔵・神社がある地域で育った人は、人間への一般的信頼や互恵性(お互い与え合うこと)が高くなります。私の書籍でも、神社仏閣のある地域では、地域愛が高まり、同じ地域に住む人たちは良い人だと思うようになると解説しています。つまり、神社仏閣に参拝している人は、周りの人をいい人だと思って信頼し、お互いに与え合う関係を築くのです。

プロフィール

  • 八木 龍平氏

    八木 龍平氏

    社会心理学者/博士Ph.D.(知識科学)/神社の案内人

    1975年、京都市生まれ。同志社大学経済学部卒。北陸先端科学技術大学院大学博士Ph.D.(知識科学)。社会心理学者。

    「神社」についての今までにない分析が好評を博し、『成功している人は、なぜ神社に行くのか?』(サンマーク出版)はまたたくまに27万部超のベストセラーに。

    NTTコムウェアのシステムエンジニア、富士通研究所シニアリサーチャー、北陸先端科学技術大学院大学・客員准教授、青山学院大学・非常勤講師、武蔵野学院大学・兼任講師などを歴任。性格分析やコミュニケーションの学術論文を出版する社会心理学者である。2006年度コンピュータ利用教育学会(CIEC)学会賞・論文賞。

    現在は株式会社そらみつ工房代表取締役として、ブログや講演会にて、“リュウ博士”と呼ばれ活躍中。全国の企業・団体での講演や、神社参拝ガイドには、毎回多くの参加者が集まり、人気を博している。

    『成功している人は、なぜ神社に行くのか?』『成功している人は、どこの神社に行くのか?』『しくじりをした人は、なぜ神社に行くと大成功するのか?』(サンマーク出版)、『成功している人のスキマの法則』(扶桑社)など著書多数。

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