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2023/08/24

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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術

第163回

メンタル不調には薬より〇〇?うつになった精神科医がやったこと

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誰もが「心の苦しさ」を抱えているといってもいい今の時代。その大きな原因となるのは、人間関係からくるストレス。人間関係そのものを変えるのは難しいが、解決の糸口は「食事」にある。

ストレスを自分だけで解決するのは難しい

産業医として、私はさまざまな企業の皆さんの健康増進を手伝っています。そこで日々感じているのは、今の時代、誰もが「心の苦しさ」を抱えているということです。本人に自覚があるかどうかにかかわらず、ギブアップ寸前の皆さんの内なる声が聞こえてくるように感じます。   何となく疲れている、元気が出ない、けれど仕事や生活の手を止めるわけにはいかず走り続けている、という人が大勢います。気分が落ち込む、集中力が続かない、何に対しても意欲がわかない、さらには食欲がない、眠れないなどといった症状がある人も少なくありません。

いずれの症状も短期間なら誰にでも起こることですが、2週間以上続くと、うつ病と診断される基準になります。
 
こうしたメンタル不調の大きな原因といわれるのが人間関係からくるストレスです。とはいえ、人間関係のストレスには相手がいるので自分だけでは解決できません。ストレスそのものを排除するのは、とても難しいのです。
 
それなら、物事をネガティブにとらえがちな心を変えればいいじゃないか、ということになりますが、それこそ難しいもの。メンタル不調になりやすい人は、完璧主義だとか、断れない性格だとか、まじめなタイプだとか、人の目が気になるタイプだとかいわれますが、何年もかけてつくってきた「自分」を変えるのは簡単ではありません。
 
それは、私自身も身に染みてよく分かります。なぜなら、私自身、精神科医でありながら7年もの間、うつ病に苦しんだからです。

うつ病になった精神科医

私がうつ病と診断されたのは、2000年のことです。医師としての自分に自信が持てないから診察するときはいつもびくびく、将来に向けては不安だらけ。うつ病を患っている間、ずっと抗うつ剤を飲みながら診察を続けました。しかし、薬では自分のうつも、患者さんのうつも治せませんでした。
 
そんな私も、今ではすっかりうつから抜け出しています。性格は変わりませんし、仕事も、生活環境も、人間関係もまったく同じですが、変えたものが1つだけあります。
 
それは、食事です。食べ物と食べ方を変えたところ、私の場合は2週間で明らかな変化があらわれました。
 
まず、やせてきました。当時20代だったというのに、無駄なぜい肉が全身を覆って、動くのが億劫でした。それがスッキリし始めて、体が軽くなりました。体調もよくなって、よく眠れるし、おかげで慢性的な疲れが消えました。すると心まで楽になってきて、心配や不安を感じることが減りました。
 
そしてついに、うつ病から抜け出ることができたのです。うつ病になってから、7年近く経過していました。

心と体は「食べたもの」でできている

メンタル不調と食事。一見、関連があるように思えませんが、私たちの体は食べたものでつくられていて、食べることで生命活動を維持しています。心の動きや脳の活動も、もちろん食べることによって支えられています。考えてみると、心の不調と食事に関連がないわけがないのです。
 
そのきっかけを与えてくれたのが、アメリカの経営コンサルタントであるジェームス・スキナー氏の『成功の9ステップ』という成功哲学の本のなかで紹介されていた「ナチュラルハイジーン」という食事法です。そして、故・甲田光雄先生(元大阪大学医学部非常勤講師、甲田医院院長)が考案した「西式甲田療法」という健康法です。
 
この師ともいえるジェームス・スキナー氏と甲田先生の理論を参考に生まれたのが「宮島式食事法」です。ポイントは3つです。
 
1、体に負担をかけない食事を心がける
 
2、腸内環境を整える食事を心がける
 
3、脳に栄養を与える食事を心がける

プロフィール

  • 宮島 賢也氏

    宮島 賢也氏

    精神科医・産業医

    1973年、神奈川県生まれ。防衛医科大学校卒業。研修中、意欲がわかず精神科を受診、うつ病の診断を受ける。自身が7年間抗うつ剤を服用した経験から、「薬でうつは治らない」と気づき、食生活と考え方、生き方を変え、うつ病を克服する。その経験を踏まえ、患者が自ら悩みに気づき、それを解決する手伝いをする方向へと転換。うつの予防と改善へ導き、人間関係を楽にする「メンタルセラピー」を考案する。心の深い世界を知ったことから、さらに探求を開始し、現在は産業医などをしながら、心の不調の予防や教育により一層関われる方法を模索中。

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