TOP 敏腕キャピタリストの着眼点 社内のグローバルチームとソニーの専門家の「目利き」で、次の成長機会を増やす。【後編】

2023/05/16

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敏腕キャピタリストの着眼点

第43回

社内のグローバルチームとソニーの専門家の「目利き」で、次の成長機会を増やす。【後編】

  • 経営
  • 組織
  • 土川 元氏 ソニーベンチャーズ株式会社 代表取締役社長

 

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日本を代表する世界的企業のソニーグループ。エレクトロニクスをはじめ、ゲームやエンターテインメント、金融などさまざまな分野の事業をソニーグループとして展開しています。そのソニーグループで、ベンチャー企業への投資と事業成長支援を目的としたファンドの運営事業を行うのがソニーベンチャーズ株式会社です。

 

投資先の選定にあたっては、約30人の専門家から構成されるグローバルチームに加え、ソニーグループ内の専門家が目利きとなってスタートアップ企業を分析。世界の革新的な企業に投資しています。今回の「敏腕キャピタリストの着眼点」は、代表取締役社長の土川元さんをゲストにお招きし、同社の投資方針の特徴や投資先企業を見る際のポイント、いま注目すべき投資先企業などを伺いました。前後編の2回にわたってお届けします。

(聞き手/井上和幸)

バラエティに富むメンバーがボトムアップで投資する

井上 現在は、どのような形でベンチャーに投資しているのですか。

 

土川 ソニーグループの投資に関する全体の構図は、まず吉田憲一郎さん(ソニーグループ株式会社取締役代表執行役 会長 CEO)や社長の十時さんにより、大きな判断で出資や買収が行われます。その次のレイヤーとして、事業部が当面の協業などで出資を判断する場合があります。それ以外にソニーの周りには魅力的な企業がたくさんあります。それらを、どこが成長しているのか早い段階で見つけに行くのがわたしたちの仕事です。

 

そこでは世の中で大きく動いているものと、ソニーが目利きできるものを重ね合わせたところを見ています。最近ではARのリーディングカンパニーであるIllumixに出資しましたが、そういった成長領域に投資を行う一方で、フィンテックなどのベンチャーマーケットとして大きく伸びている分野にも投資をしています。それによってソニーの次の成長機会を増やしていく視点で投資戦略を進めています。

 

井上 運営するファンドはいくつあるのでしょう?

 

土川 現在運営しているのは3つです。まず、ソニーグループが全額出資しシード・アーリーステージの企業に投資する「Sony Innovation Fund(SIF)」、ソニーベンチャーズが運営し、ミドル・レイターステージの企業に投資する「Sony Innovation Fund 3」、地球環境問題を解決する新技術を市場にもたらすアーリーステージの企業に投資する「Sony Innovation Fund : Environment(SIF : E)」。スタートアップの成長ステージに合わせて3つのファンドを通じて投資しています。

 

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プロフィール

  • 土川 元氏

    土川 元氏

    ソニーベンチャーズ株式会社 代表取締役社長

    1984年一橋大学法学部卒業後、日本興業銀行入行。88年スタンフォード大学にてMBA取得。メリルリンチを経て、2004年ソニーに入社。08年IR部門長、11年本社CorporateDevelopment部門長、14年ソニーモバイルCSO、16年Sony Innovation Fund Chief Investment Manager、19年Innovation Growth Ventures株式会社CEOを兼任、2022年よりソニーベンチャーズ株式会社CEO兼CIOも務める

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