TOP ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術 かわいい子には旅(越境)をさせよ!

2023/03/16

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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術

第146回

かわいい子には旅(越境)をさせよ!

  • キャリア
  • ビジネススキル
  • 井上 功氏 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ マスター/エグゼクティブ・プランナー
 

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主に今の自分のキャリアを巡る「もやもや」を何とかしたいと思っている人が、その「もやもや」にどう対処し、どう突破するのかを、越境をヒントに解き明かしていく。

最近、もやもやしていませんか?

近年、VUCAという言葉に代表される社会の変化が、過去の延長線上では考えられないほど劇的で大きなものになってきています。日本は既に“安い国”になってしまい、経営者にとって失われた30年を取り戻すのは大変です。意外な競合が表れたり、コスト競争に巻き込まれたり、為替レートの急変で対応を迫られている人も多いでしょう。正に「もやもや」していると思います。   また、さまざまな情報が瞬時に手に入る現代、社員の多くが外部環境の急速な変化を感じているはずです。彼らの、「なにかしないとまずいかな?」という「もやもや」は、日本的雇用慣行の機能不全と相まって、じわじわと加速しています。「もやもや」していない社員はいないと言っても過言ではないでしょう。

この「もやもや」の正体は、狭い日本で特に不満や不安なく仕事をしてきた自分と、このままではまずいという危機感を持つ自分との相克です。そして、この「もやもや」を晴らす鍵を握るのが、居場所を移す行為である越境です。現状とは異なる何かしらの状況に自分自身を移した時に、人は変化し成長します。それは経営者でも社員でもしかり、です。
 
本書では、主に今の自分のキャリアを巡る「もやもや」を何とかしたいと思っている人が、その「もやもや」にどう対処し、どう突破するのかを、越境をヒントに解き明かしていきます。自分や会社に対してさまざまな「もやもや」を持つようになる、入社7~10年目位の中堅社員をイメージして書いてあります。

10の越境で「もやもや」を突破し、多くの果実を得る

「もやもや」を突破するための越境方法を10に分類しました。経済活動に関する7つの越境と、社会生活に関する3つの越境です。それぞれ、難度が低い順から紹介しています。
 
~経済活動に関する7つの越境~
1、個人内越境 ― 自分と向き合い、「もうもや」を突破する
 
2、企業内越境 ― 自分の仕事の「もやもや」を、会社の中で突破する
 
3、企業間越境 ― 今いる会社の「もやもや」を、企業間を越境し突破する(ただし転職自体は扱わない)
 
4、職種間越境 ― 今の職種に関する「もやもや」を、職種自体を変えることで突破する
 
5、業種間越境 ― 所属する業種・業界の「もやもや」を、業種を越えることで突破する
 
6、産学官越境 ― ずっと会社員でいいのか? の「もやもや」を、学や官の世界への越境で実現する
 
7、労使間越境 ― 経営者になれるかな?の「もやもや」を、経営を考え、実践することで突破する
 
~社会生活に関する3つの越境~
1、世代間越境 ― 職場以外の世界に関する「もやもや」を、世代間交流で突破する
 
2、 地域間越境 ― 今住んでいる場所に関する「もやもや」を、実際に住む場所を変えて突破する
 
3、国家間越境 ― 日本を巡る「もやもや」を、バーチャル・リアルで国境を越えて突破する
 
紹介している越境方法は、すぐに実践できるものもあれば、ある程度準備と覚悟が必要なものもあります。ただ、全ての越境活動を通して、得られることがあります。まず、【新しい知識の獲得】です。越境して今いる世界とは異なる場所に身を移すと新しい知識が得られます。越境先の人たちとのコミュニケーションで、【モノの見方の転換】が進みます。イノベーションの主要概念である【新結合】は何かと何かをつなげることですが、越境と極めて親和性が高いです。また、異なる世界との交流で、【ネットワーク】、つまり新しいつながり・人脈が生まれます。その過程で、【対人対応スキル】が身につきます。人と対話して“もがく”のです。そして、新世界での【ワクワク感】も得られることでしょう。このように、越境で得られることはたくさんあるのです。

自分も激しく越境してきた

私は1986年4月に、リクルートに入社し、現在はリクルートマネジメントソリューションズに所属しています。仕事は、自社の採用業務・顧客の採用支援や就職ブランド開発・人事課題解決・人事コンサルティング部門の創設及び営業・経営理念浸透支援・次世代リーダー開発支援・イノベーション領域の事業開発と、外部環境の変化とともに変わってきました。

プロフィール

  • 井上 功氏

    井上 功氏

    株式会社リクルートマネジメントソリューションズ マスター/エグゼクティブ・プランナー

    【略歴】1986年リクルート入社、自社の採用業務の後、顧客の採用支援、組織活性化業務に従事。2001年、HCソリューショングループの立ち上げを実施。以来11年間、リクルートで人と組織の領域のコンサルティングに携わる。2012年に現社に出向・転籍。2022年4月より現職。

    【現在の仕事】

    組織の中から新しい価値(イノベーション)をどうやって創出するか、をテーマに掲げ、経済産業省や民間企業、リクルートグループ各社と協働、イノベーション人材開発、組織開発、新規事業提案制度策定等に取り組む。近年は、異業種協働型の次世代リーダー開発基盤Jammin’を開発・運営し、フラッグシップ企業の人材開発とネットワーク化を行なう。

    【表彰、講演実績・講演テーマ】

    1997年、98年にリクルート全社マネージャMVP受賞。早稲田大学、国際基督教大学、国土交通省、経済産業省、日経新聞等 で講演実績多数。主なテーマは、1、イノベーション創出、2、越境、3、次世代リーダー開発、4、リクルートの企業変革。

    【著書】

    『借金1丁円を10年で返したリクルートの現場力』(2005年/ダイヤモンド社)、『なぜ「エリート社員」がリーダーになると、イノベーションは失敗するのか前』(2015年/ダイヤモンド社)、『次世代リーダーを育て、新規事業を生み出すリクルート流 イノベーション研修 全技法』(2017年/ディスカヴァー・トゥエンティワン社)

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