2022/12/27
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戦略人事の仕掛人
第24回
喜ばせるのは社員ではなくユーザー。いつでも“事業を伸ばすこと”を真ん中において考える。【前編】
- 組織
大切な人との旅行や会食では、いつもより少し贅沢な時間を過ごしたい。そんなとき、「一休.com」を利用する人は多いのではないだろうか。 “ユーザーファースト”の姿勢を貫き、「ここで予約をすれば間違いない」という信頼を積み重ねてきた運営会社、株式会社一休。そのサービスの裏側には、「事業を伸ばすこと」にひたすらこだわり、制度づくり、組織づくりに邁進してきたCHROの存在がある。
一休で初の最高人事責任者となり、ヤフーの完全子会社化という難局をチャンスに変えた植村弘子さん。前編では、彼女の仕事観やCHRO就任の経緯などを伺った。
(聞き手/井上 和幸)
現在まで一貫した仕事観「置かれた場所でしっかりと咲く」
目指していた仕事は“営業職”。営業ができるのであれば、業界業種は問わない。大手で名前を知っている会社を10社程度選んで応募したという植村さんの就活は、「最初に内定をいただいたエスビー食品に入社を決めました」という個性的なものだった。
植村 そんなわたしでしたから、エスビー食品に入社した後も問題児でした。怖い物知らずの新人ですから、納得いかないことがあると「これでは他社に勝てません!」とかばんばん言っちゃう。「なんだあいつは」「生意気だ」と散々言われ、最終的についたあだ名が“破壊者”でした。
けれど、置かれた場所できちんと咲きたい。できれば、しっかりと深く。だからこそ「一番咲けそうな仕事」と認識し、唯一こだわった営業職で“破壊者”のままではいられない。「これは結果を出すしかない」と感じた植村さんは、誰よりも現場に足を運ぶなどの努力を重ねて成果を上げ、1年後には「あいつ、口だけじゃないな」と周囲に言わしめるほどになったのだという。
井上 いきなり横道に逸れますが、現在CHROの植村さんから見たら当時のご自身はどう映るのでしょうね?
植村 いやぁ、かわいいやつだと思うんじゃないですか(笑)。当時は若気の至りだらけだったので、「もうちょっと上手くやったら?」とは言うかもしれませんけれどね。
井上 あはは。ただ、そうやって新人時代から結果を出してきたエスビー食品を5年で転職されています。ここは、どういう経緯だったのですか?
植村 エスビー食品では、入社すると“わたしの未来計画”のようなものを書くのですが、そこに「5年で退職」と書いていた。当然、上司からは怒られましたが…。当時のわたしは「1社目で営業力を...
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