2022/11/21
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イマ、ココ、注目社長!
第291回
飲食店のバックヤードを省力化する「仕込みの外部化」で急成長。【後編】
- 経営者インタビュー
- 経営
- 組織
- 注目企業
- 西原 直良氏 株式会社シコメルフードテック 代表取締役 CEO
飲食店のアナログなバックヤードに着目し、1店舗から仕込みの外注を可能にするアプリ「シコメル」を開発したのは、2019年12月創業のベンチャー、シコメルフードテックです。
コロナ禍の2020年5月にアプリをリリースしたにもかかわらず、この2年半でアプリダウンロード数1万7,000超(2022年9月時点)、登録店舗数2,852店(2022年9月時点)と右肩上がりでユーザーが増加。
急成長を遂げているその背景には、わかりやすい効果と意外なニーズがあったそうです。
同社を率いる西原直良さんに起業からの歩みと今後の展望を伺いました。
コロナ禍の船出
――御社は「1店舗からのセントラルキッチン」をコンセプトにしていますが、創業から間もなくして新型コロナウイルスのパンデミックが発生して、飲食店も大きな影響を受けました。想定外の出来事にどう対応しましたか?
西原 アプリをローンチしたのが2020年5月1日という最初の緊急事態宣言中で、仕込みを解決と掲げているのに、日本中の店が閉じてしまったので、どうしようかなと焦りました。それから4、5カ月はほぼ売り上げがなかったんですけど、10月頃にUber Eatsなどで営業するデリバリー専門店の事業者からの登録が一気に増えたんです。その後の5カ月で約800店舗に新規登録してもらって、デリバリー専門店向けにオリジナルの商品を仕込んでいました。
――コロナ禍に増えたデリバリーフードの需要が、御社の追い風になったんですね。2022年9月の時点で、アプリダウンロード数1万7,000超、登録店舗数2,852店と、右肩上がりでユーザーが増えています。「仕込みの外部化」は予想通りニーズがあったと感じていますか?
西原 そうですね。弊社の仕込み済み商品を導入して店舗でまったく仕込みをしなくなった居酒屋チェーン店は、人件費が20%から12%に下がりました。海鮮丼の専門店では、キッチンの省スペース化で家賃率が10%から3%、人件費も20%から12%になりました。導入効果の高さがユーザーの増加につながっていると思います。
――飲食店の課題だった固定費が大幅に削減されていますね。それぞれの飲食店のレシピを再現するのは簡単ではないと思いますが、どのように取り組んでいるのですか?
西原 調理を何工程にも分解して工業化するというのは、僕が西友フーズで20年以上やってきたことです。シェフと密にやり取りをして、何度も試...
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