2022/10/06
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第135回
できるリーダーはやっている! 部下のやる気を高める「対話」とは?
- キャリア
- ビジネススキル
- 伊庭 正康氏 株式会社らしさラボ 代表取締役
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リモートワークになり部下との対話が減ったなど、一見すると逆風にも見えるこの環境は、大きなチャンスでもある。「対話」のセオリーを知ると、短時間で「部下との深い対話」ができるようになり、やる気を高めることができる。
今、私は、年間200回程度のオンライン研修とリアル研修に登壇しています。すると、受講者から、こんな声を聞きます。「リモートワークになり部下との対話が減った」「自分自身が忙しく、会話が不十分になっている」「最近、部下が何を考えているのが見えにくい」と。まさに、環境の変化、そして日常の忙しさに翻弄されている状況がうかがえます。 しかし、一見すると逆風にも見えるこの環境は、大きなチャンスでもあるのです。「対話」のセオリーを知ると、むしろ短時間で「部下との深い対話」ができるようになり、その結果として部下のやる気を高めることができるからです。つまり、この逆風の機会だからこそ、あなたのマネジメントスタイルをバージョンアップさせるチャンスともいえるわけです。
“イマドキ”の部下は、何を上司に期待しているのか
今こそ、われわれが知るべき情報があります。ズバリ、“今の部下は、何を上司に期待しているのか”、です。リクルートマネジメントソリューションズ社の「2021年新入社員意識調査」(2380 名)の分析によると、この10年で上司に期待することが、大きく変わっている要素があります。【上司に期待すること】
1位、「相手の意見や考え方に耳を傾けること(51.3%)」[+5.3pt]
2位、「一人一人に対して丁寧に指導すること(47.7%)」[+13.7pt]
※[ ]内は、この10年での上昇率
キーワードは、「耳を傾ける」「丁寧に」の2つ。リーダーとしてあるべき姿を考える際、もはや、指示や確認、業務の指導をするだけではなく、時間をとってでも「一人一人に耳を傾け、丁寧に対話する」ことは外せないということは留意しておくべきです
調査は、新人を対象としたものですが、価値観、生活スタイルが多様化する今、あらゆる年代の部下に対し、この要素は外せなくなってきています。
そこで、大切になるのが「コミュニケーション」の取り方です。ただ、会話をすればよい、というわけではありません。会話はしているが、対話はしていない職場は多いものです。「会話」は、言葉のやりとり。「対話」は、心のやりとり、と考えてください。
次のケースを見るとどうでしょう。
上司 「どう、今週は忙しい?」
部下 「はい。期末なので忙しいです。もっと、早く帰れるといいのですが、今は仕方ないです」
上司 「期末だからね。忙しくなると分かった段階でスケジュールを前倒しして、やればいいんじゃない? まあ、今だけなので、頑張っていこう」
これは、ただの会話。“心”を聞いていませんので、「対話」ではありません。「対話」は、心を聞きます。こんな感じ。
上司 「どう、今週は忙しい?」
部下 「はい。期末なので忙しいです。もっと、早く帰れるといいのですが、今は仕方ないです」
上司 「そうか……。教えてもらってもいい? 今は、どんなことで忙しいの?」(中略)
部下 「(何かしらの理由を回答)」
上司 「そうか……。それは大変だね。せっかくなので、対策を考えない?
部下 「そうですね」
上司 「では、どうするのがいいのかな?」
部下 「う~ん……、そうですね…‥」
上司 「(アドバイスをせず、待つ)」
部下 「もう少し余裕を持った計画を組めば解消できるかも……」