TOP イマ、ココ、注目社長! 超小型陽子線がん治療装置で多くの命を救いたい。【後編】

2022/09/06

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イマ、ココ、注目社長!

第261回

超小型陽子線がん治療装置で多くの命を救いたい。【後編】

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  • 古川 卓司氏 株式会社ビードットメディカル 代表取締役社長

 

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年間100万人を超える新規のがん患者。その治療法には、外科的治療(手術)に加え、薬物治療、放射線治療があります。特に陽子線治療などの放射線治療は、がんを安全かつ効果的に治療する方法として注目を集めています。しかし、ネックなのは治療装置が大型で高価なこと。そのため普及が進んでいないのが現実。そうした中で、株式会社ビードットメディカルは、従来にはない小型で低価格な陽子線治療装置の製造・販売に乗り出しています。

 

代表取締役社長の古川卓司氏は、放射線医学総合研究所(放医研)の研究員として放射線医療装置の研究開発に携わったのち、放医研発のベンチャーとしてビードットメディカルを2017年に起業。同社が開発した超小型陽子線がん治療装置は、現在薬機法承認に向けた準備中で、順調にいけば年内にも医療機器として認められる予定です。「少しでも多くのがん患者を救いたい」という思いから起業に踏み切った古川氏に、がん治療にかける思いとその現在地について、お話をうかがいました。

(前編はこちら)

(聞き手/井上 和幸

 

薬機承認を申請中。医療機器として来年が勝負の年

――古川さん自身、ビードットメディカルが初めての企業経営ですが、すでに放医研時代にプロジェクトマネジャーを経験してきただけに違和感はなかった?

 

古川 そうですね。放医研時代の経験は大きいと思います。そのころのやり方が、企業経営にそのまま当てはまりましたから。ただ、企業を経営して初めてわかったこともあります。特に人件費やオフィスなどの場所代は、放医研時代はあまり気にする必要はありませんでした。自立した企業となって初めて見えてきました。

 

――現在は陽子線治療装置の製造・販売を事業の柱に据えていますが、その進捗状況は?

古川 私たちの陽子線治療装置の特徴は小型だということ。陽子ビームを多方面から照射するには、巨大な磁石を搭載した回転ガントリーが必要でしたが、私たちは画期的な技術で、回転せずにビーム角度を変えることができるようにしました。その結果、とても身近なサイズの装置が実現しました。価格も従来の治療装置より安価です。
ただし、製品として認められるには医療機器としての承認が必要です。そこはスタートアップとして大きな課題です。その申請をするためには製品を1台作って、実際に陽子線を出して、試験をしなければいけません。ここ3年ほどはそれに注力してきました。ようやく今年になって初号機が完成し、5~6月に性能試験を実施し、現在は薬機法承認に向けた準備を行っています来年には医療機器として大手を振って販売ができると思います。

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プロフィール

  • 古川 卓司氏

    古川 卓司氏

    株式会社ビードットメディカル 代表取締役社長

    千葉大学在学中に放射線医学総合研究所(放医研)に入所し、2004年に千葉大学大学院にて博士号を飛び級で取得。2011年には開発グループリーダーに着任し、放医研の新治療棟建設プロジェクトでは予算要求から装置導入、治療開始までの指揮を執り、また複数の病院における重粒子線治療装置導入プロジェクトを率いるなど、豊富な実績を持つ。2017年に放医研発のベンチャー企業として、ビードットメディカルを設立し、超小型陽子線がん治療装置の開発に取り組む。立教大学理学研究科客員教授。

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