2022/07/05
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敏腕キャピタリストの着眼点
第28回
ぶっ飛んだ個性を持つ起業家こそが、これからの歴史をつくる。【後編】
- 経営
- 組織
スクラムベンチャーズ(創業者兼ジェネラル・パートナー:宮田拓弥氏)は、2013年にアメリカで創業したVCです。日米両国でアーリーステージのスタートアップへ投資するほか、子会社(スクラムスタジオ)において日本企業とグローバルスタートアップの新規事業創出も多数手がけている同社。そのスクラムベンチャーズを創業し、これまで100社に投資を行っている宮田氏に、2022年の同社の投資テーマと注目の投資先企業などをうかがいました。
(前編はこちら)
2022年の投資テーマは、現在を未来へつなぐ「3つのユニバース」。
井上 宮田さんが今後取り組みを加速させたいことや、あるいはスクラムベンチャーズさんが最近投資している注目企業をいくつかご紹介いただけますか。
宮田 僕たちは2022年の投資のキーワードを「3つのユニバース」としています。「メタバース」、「グリーンバース」、そして「マルチバース」です。
まずメタバースですが、今後バーチャルリアリティ技術が一気に増えていく中で、よりリアルな3D世界に僕たちは入っていくようになります。その分野で僕たちが投資しているのが、例えば、『OSSO VR』という会社です。同社は医療のトレーニングをVRで行って、今、急成長している会社です。医療のトレーニングというのは、これまでは徒弟制度的な世界で、実際に人や死体を使ってテストをする必要があるため、なかなか回数を経験できないのが問題でした。そのため、新しい器具では失敗が多かったのですが、この会社はそれをVRで行うことによって、どこでもそのトレーニングができるようにしました。その結果、お医者さんのトレーニングの成功率を劇的に上げています。
井上 それは上達しますよね。症例が少ないケースでも、トレーニングし放題ということになれば。
宮田 そうなんです。僕たちはカリフォルニアで一番大きな病院のカイザーパーマネンテと共同で投資したのですが、今、全米の病院でこういう教育・トレーニングをメタバース上でやることが広がってきています。
井上 2つ目の「グリーンバース」というのは?
宮田 「グリーンバース」は僕たちの造語です。世界的にサステナビリティや地球温暖化問題が言われ、この分野のテクノロジーがたくさん登場していますよね。僕たちも「緑の多い地球を取り戻す」という意味合いで、いろいろ投資を始めていて、その1つが『ナチュラルファイバーウェルディング』という会社です。同社は、プラスチックや石油化学製品を使わず、自然にある素材を使って、高機能な合成皮革と繊維などを開発しています。
例えば、『ポロラルフローレン』のポロシャ...
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