2022/06/28
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敏腕キャピタリストの着眼点
第27回
ぶっ飛んだ個性を持つ起業家こそが、これからの歴史をつくる。【前編】
- 経営
- 組織
スクラムベンチャーズ(創業者兼ジェネラル・パートナー:宮田拓弥氏)は、2013年にアメリカで創業したVCです。日米両国でアーリーステージのスタートアップへ投資するほか、子会社(スクラムスタジオ)において日本企業とグローバルスタートアップの新規事業創出も多数手がけている同社。そのスクラムベンチャーズを創業し、これまで100社に投資を行っている宮田氏に、2022年の同社の投資テーマと注目の投資先企業などをうかがいました。
アメリカで就職。2度の起業とイグジットなどを経てVCを設立する。
井上 まずプロフィールを簡単にご紹介させていただきます。宮田さんは早稲田大学大学院(理工学研究科薄膜材料工学)を修了し、EDS(現HP)のシステムエンジニアとして米国で就職。日米を行き来しながら、その後、米国ベンチャーの創業に参画。また自身でベンチャー創業し、それぞれで2回のイグジットを経験されています。その後は、ミクシィの米国法人CEOを務めつつ、個人としてのエンジェル投資を続けられ、40歳のときに2013年にスクラムベンチャーズを創業されました。宮田さんは、昔から投資事業などに関してご興味があったのですか。
宮田 いえ、全くなかったですね。もともと学生のときはサイエンスの道を目指していて、大学院のときに人生のピボットのような形で実業の世界に出ていこうと思いました。そこで経営者になっていく中で、経営者側の人間と、お金を出す側の人間の、ある種「エコシステム」のようなものが機能していることを理解し、40歳ぐらいになって今の会社をつくりました。そういう意味では、次のキャリアとして、若い人を支援する側であるベンチャーキャピタルを始めたという感じです。
井上 となると、経営者とはいえ、通常の事業を経営する、あるいは執行するといったこととはちょっと変わってくると思います。当時まだ40歳ですし、そうしたことへの未練――というと違うかもしれませんが、それに近い感情はなかったのでしょうか。
宮田 そうですね。40歳で支援する側に回ろうと思いつつも、僕と同じ年齢の人たち――例えば、グーグル創業者のラリー・ペイジとサーゲイ・ブリン、あるいは、テスラのイーロン・マスクなどは、まだまだ現役でやっています。そうした非常にアクティブな経営者を見ていると、「若い人を支援する」と偉そうに言っても僕たちにできることには限りがありますし、思うところはあります。
そうした意味で、2年前に、『スクラムスタジオ』という子会社をつくりました。これは井上さんがおっしゃる通り、ある種、自分たちがプレイヤーになって事業をつくっていく――自分たちもチャレンジして勝負していくという表れでもあります。
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