TOP イマ、ココ、注目社長! 社会課題だけでは浸透しない。昆虫食のよい体験を広げていく。【前編】

2022/03/30

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イマ、ココ、注目社長!

第220回

社会課題だけでは浸透しない。昆虫食のよい体験を広げていく。【前編】

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  • 株式会社グリラス 代表取締役CEO 兼 CTO 渡邉 崇人氏

 

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生産過程での環境負荷が少なく、しかも高タンパク・高機能と、次世代の“食”を担うニューカマーとして申し分ない条件を備えている昆虫。2030年にやって来るタンパク質危機から、人類を救うといわれている昆虫食に着目し、フタホシコオロギに白羽の矢を立てた渡邉崇人さん。徳島大学発のスタートアップ・株式会社グリラスの代表として、食のインフラを変えるべく日々奮闘しています。前編では、大学職員としてコオロギの研究を続けていた渡邉さんがその食用化を目指した経緯や、身近なようでいて案外知らないコオロギのあれこれについて伺いました。

(聞き手/井上 和幸

 

コオロギ研究の評価を上げるために産業化を決意

――渡邉さんは、小さい頃から昆虫や生物がお好きだったのですか?

 

渡邉 昆虫少年でこそありませんでしたが、生き物全般はもともと好きでした。
進学したのは、徳島大学の工学部・生物工学科。そこで、生き物の個体がどうやって形づくられていくのかという研究をしていました。具体的に言うと、受精卵の段階ではどの生き物も1個の細胞ですが、それが分裂を繰り返していくと、人は人になるし、鳥は鳥になるし、コオロギはコオロギになる。遺伝子と発生がどのような相互作用でそうなるのかという研究です。

 

――発生生物学的な分野になるのでしょうか?

 

渡邉 分子生物学寄りの発生生物学といったところです。そこで、ゲノム編集もおこなっていました。

 

――そのときに、扱っていたのがコオロギだった?

 

渡邉 ニワトリとマウスとコオロギが選べたのですが、僕はどれでも良かったのでコオロギを扱う部門に入れられました。結果としていまにつながるわけですから、このラボに入ったことは大きなイベントになりました。

 

――文系の素人知識で恐縮ですが、昆虫を使った研究というとショウジョウバエが思い浮かびます。コオロギもポピュラーなのですか?

 

渡邉 いえ、ショウジョウバエの実験でノーベル賞を取った学者もいますし、一般的にはショウジョウバエの方がポピュラーだと思います。ただ、“生き物の進化”を考える際、実はハエってすごく新しい。昆虫は通常羽が4枚あるところを、ハエは「べつに2枚でも飛べるやん」と効率化して羽を2枚に退化させた。双翅目というのですが、進化的にはかなり最近出てきた生き物なんです。ですから、ハエでばかり研究をしていても、昆虫全体の理解にはつながらないのではないか?という考え方の流れが‘95年〜2000年くらいに出てきました。
一方コオロギは原始的で、進化的にはか...

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プロフィール

  • 渡邉 崇人氏

    株式会社グリラス 代表取締役CEO 兼 CTO

    徳島大学大学院バイオイノベーション研究所・助教を兼務する。 研究者としては昆虫の発生・再生メカニズムを専門とし、コオロギの大規模生産、循環エコシステムの開発を行う。 徳島大学在学時にコオロギをモデル生物とした発生生物学の研究を開始し、半生をコオロギ研究と共に過ごす。 2016年よりコオロギの食用化を目的とした応用研究をスタートし、2019年にコオロギの持つ可能性を社会に実装し、食料問題の解決をすべくグリラスを設立する。