2021/10/29

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経営幹部・エグゼクティブのためのキャリア&転職を考える

第10回

転職直後に上手に会社になじむ方法

  • 転職
  • キャリア
  • 株式会社 経営者JP エンタープライズサービス統括本部 兼 プラットフォーム事業本部 佐藤 志保

 

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経営者・幹部層の転職では、どのようにプロジェクトを成功させるかという点が注目されます。しかし、鳴り物入りで招聘され、大きく期待された経営層・幹部層の方でも、転職後の初事業が失敗となった例はたくさんあります。

 

本日は、社外から招聘された経営層・幹部層が、企画や改革を成功させる会社になじむ方法を、実際にあった事例を参考にご案内していきます。

 

「改革を成功させている社長」の採用時の指示とは

外資系企業に役員として転職した方が、早速社長から直々に言われたこと。
それは、期待とお願いでした。

 

「これからよろしくお願いします。○○さんには大いに期待しています。このポジションはあくまでエントリーポジションで、より高いポジションについてもらいたいとも考えています。……ただし、一つお願いがあります。入社してから半年は、決して新しいことをやらないでください」

 

この指示は、どういう意味を持つのでしょうか?

 

「外資系企業なら、特に早く成果を出さないといけないのでは?」
「何もしない、と言われても、実際には何かしなければダメだろう」

 

ここで、社長の意図を見抜き、自分が何をすべきかを考え始めることが彼のスタート地点だったそうです。
社長の言葉の続きは、こうでした。

 

「組織には独自の文化があり、現在のオペレーションには積み重ねられてきた背景があります。それを十分理解せずに新しいモデルを移植しようとすれば、間違いなく組織は混乱し、それは失敗につながります」

 

何故今こうなっているのか。
その背景を把握せずに何かを進めるのは、失敗の元だというのです。

 

つまり、まずは「会社を知る」こと。
外から見ていたのではわからない内部事情を把握し、まずは組織のありようを注意深く観察した上で、新しい組織にIntegrate、溶け込まなければなりません。自分からそこになじんでいくことが成功につながります。

 

この社長のように、受け入れ側が「なじむ時間を確保する」姿勢でいてくれれば、転職者は焦らずに成功を目指して進むことができます。この事例では、数々の幹部採用を経験した社長だからこそ、幹部層の採用定着を上手にこなし、失敗しないことに重点を置いているのです。

 

けれど、せっかちな社長が多いというのも事実です。

 

上から「すぐ改革に取りかかれ」と言われることもあるでしょう。長く会社にいた人は、何が問題か見えていることが多いので、すぐにやって欲しいと思うのはある意味当然の要望です。
ただし、転職した側はそうではありません。
「一般的にはこうだろう」と決めつけて改革や企画を進めるのはとても危険です。会社の成り立ちや現状を理解するための時間は必ず必要になります。

 

もし猶予をもらえない場合、入社後自分からトップに対して「一定期間はあえて動かない(改革しない)」ことを主張し、了承を得る必要があるでしょう。とはいえ、ベンチャー企業となりますと、この何もしない期間は長くは取れないはずです。3ヶ月など短めに提案しないと「何を言っているんだ」というお叱りになってしまうかもしれません。

 

このように、企業によって猶予期間に差が出るので、「せっかちな社長や会社」かどうかも、転職前に探っておくと心構えが変わってきます。

 

とにもかくにも、まずは会社を知る時間を確保し、また自分を知ってもらえるよう会社になじんでいくことが大事です。
結局この話は、「誰がキーマンなのか、押さえるべき人物が誰か、顧客との対話を知らないことは危険」というシンプルな考えが元になっています。

猶予期間に何をする?

ところで、仮に半年の猶予期間をもらえたら、その間に何をすべきなのでしょうか?

 

注意したいのは「一定期間何もしない」というのは「期限が来たら、すぐに必要な変革に着手する」とイコールだということです。準備期間のうちに会社について注意深く観察し、問題点や改革の方向性をまとめ上げておく必要があります。
そしてもちろん、社内の把握だけでなく、社員、役員などキーパーソンとの信頼関係を構築し、社外の取引先や顧客ともコミュニケーションを重ねていきましょう。

 

「動かない」と言っても「企画や改革を始めない」というだけで、やるべきことは無数にある状態です。むしろ、この期間でどこまで深く会社を知ることが出来るかという点が成功の分かれ目となります。まさに勝負の時間です。

 

『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』(かれをしりおのれをしればひゃくせんあやうからず)という孫子の言葉は有名ですが、経営にも同じことが言えるんですね。

 

招聘された後、最大限パフォーマンスを発揮するために

大企業の事業失敗というと何が浮かぶでしょうか?
ニュースで事例を聞いて「あれがまずかったんだろうな」と想像することもあるでしょうが、その実情は結局会社の中にいる人間にしかわからないのです。

 

そして転職直後、急ぎ改革が求められているときでも、失敗は避けなければなりません。
まずは時間を確保してでも会社の「中の人間」になること。新しい業界の知識を獲得し新しいビジネスプランを練っておくことを新しい会社に入社前に用意したものと入社後の状況ではギャップは必ずある。顧客とのコミュニケーションを重ね顧客ニーズと自社の提供するモノやサービスとのギャップについて知り、なじんだ後に業務を執行すること、それが成功と失敗を左右する分かれ道となるはずです。

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プロフィール

  • 佐藤 志保

    株式会社 経営者JP エンタープライズサービス統括本部 兼 プラットフォーム事業本部

    大阪生まれ。立命館大学経営学部卒。卒業後は通訳・経営コンサルの事業で起業。2020年に経営者JPに参画する。 13歳の時に経営者だった父が他界。ダンボールが机になるといった本物のゼロスタートを経験したことで“食いっぱぐれないようなスキルを絶対に身につける”という強烈な思いを抱く。その思いから大学では経営学を選考。加えて、起業家育成プログラムや税理士試験、英語弁論大会、取締役直下での長期インターンなどに取り組む。卒業後は、学生時代に培った人脈とファイナンスの知識、日中英のトリリンガルであることを活かして起業。国際展示会・商談での通訳、中国出張する経営者の同行通訳、化粧品販売スタッフへ言語研修、監査法人での監査実務代行などに携わる。その後、投資再生事業グループ会長との縁からマーケティング・海外営業代行の法人を設立。最初の大型プロジェクトでは、会長直属の立場で経営、企画、マーケティング、セールスすべてに関わり業績の大幅改善に寄与。次の大型プロジェクトでは、粉飾決算により「特設指定注意銘柄」となった企業の再生業務に従事。コーポレートガバナンスの強化に向け、組織課題の抽出、再構築から現場への浸透まで携わり「指定銘柄解除」の実現に貢献した。 これまでの仕事を通じて「企業は人なり、その中でもリーダー・経営者なり」を痛感。優秀なリーダー人材が埋もれることなく、その才能・実力・意欲を遺憾なく発揮できる場所に辿り着けるようにしたいという強い思いから、2020年10月、経営者JPに参画。 特技はカラオケで歌える曲が6言語あること。趣味は水泳で、最近はトライアスロンも開始。