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TOP イマ、ココ、注目社長! 得意なことを適材適所でやれば1人ひとりが輝ける。みんなの“好き”と“得意”を活かして、世界をまるごとハッピーにしたい。【前編】

2021/06/02

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イマ、ココ、注目社長!

第145回

得意なことを適材適所でやれば1人ひとりが輝ける。みんなの“好き”と“得意”を活かして、世界をまるごとハッピーにしたい。【前編】

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  • 株式会社FinT 代表取締役 CEO 大槻 祐依氏

 

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インスタグラムマーケティングという新しい分野で実績を伸ばし、めきめきと頭角を現している株式会社FinT(フィント)。代表を務める大槻祐依さんが、会社を立ち上げたのは大学3年生のときのこと。社会人経験を持たないなか、琴線に触れた事柄や経験をすべてトリガーにトライ&エラーを繰り返し、自分の“好き”“得意”に向き合い続けながら、現在の会社の姿にたどり着いたといいます。

 

前編の今回は、そんな大槻さんが起業を意識しいまの事業につながる芽を見つけるまでのエピソードをお話しいただきました。当初はフィンテックビジネスを行っていたという同社。果たして、その立ち上がりまでの経緯とは?

 

(聞き手/井上和幸

シリコンバレーの起業家たちのかっこよさに魅せられて

――現在の会社は早稲田大学在学中に立ち上げられたとのことですが、“起業”という言葉を意識し始めたのは、いつ頃からだったのですか?

 

大槻 大学1年の時に起業家養成講座という授業を取ったのですが、そこで作ったビジネスプランがコンテストで優勝し、シリコンバレー研修のチケットを手にしました。そのときに、「起業家ってカッコいいな!」「もっとこういう人たちと関わってみたい!」と感じたことが最初です。

 

――そのときに自分自身が起業するということも考えたのでしょうか?

 

大槻 自分が起業家になれるとは思っていませんでした。シリコンバレーで出会った人たちがスゴ過ぎて。ただ、起業家のみなさんの側で過ごす時間がとてもエキサイティングだったので、「起業家を支援する仕事がしたい」とは考えました。そこで帰国後は、ベンチャーキャピタル(VC)のイースト・ベンチャーズでインターンをすることに。

 

――イースト・ベンチャーズさんはおもしろいVCで、若手の起業家が集う場を用意したりもされていますね。このメディアでもちょうどパートナーの金子剛士さんの記事を公開したところなんですよ。

 

 

 

大槻 はい。金子さんをはじめ皆さんすごい人たちで、ここでインターン経験ができたことは私にとっても大きかったです。

 

――それから2年ほどで起業に至るわけですが、「起業家を支援したい」という気持ちが、ご自身が「起業したい」に変わった理由は何だったのでしょう?

 

大槻 20歳の頃にCandleという2つ上の先輩たちが興した学生ベンチャーでインターンをしていました。創業3年ほどで会社売却に成功したのを身近で見ていたのが大きいです。VCでのインターン経験があったせいもありますが、そんな雰囲気の中にいたら“起業”が特殊なものではなく、自分のなりたい姿やありたい姿を実現する手段の1つと身近に感じるようになりました。

 

――ビジネスプランコンテストで優勝した事業案もあることだし、と。

 

大槻 いえ、立ち上げたのはそのときに提案したビジネスプランではありませんでした。

 

――そうなんですか?

 

大槻 実は、イースト・ベンチャーズでインターンをした後、“トビタテ!留学Japan”(※)の留学制度を利用して1年ほどシンガポールに留学していました。会社を立ち上げて最初の事業は、そのときに感じていた課題を解決するアイディアでした。

 

(※)「トビタテ!留学Japan」…2013年からスタートした文部科学省の留学促進プログラム

 

――なんと、イースト・ベンチャーズとCandleの間に留学もされていたとは…。先ほどから伺っていると、すごい展開力ですよね。ひとつ引っかかりがあると、それをトリガーにしてすぐ動くタイプで。その連続性で起業も実現したのだなと感じます。

 

大槻 確かに、行動力だけはあるというか、1週間単位でどんどん環境が変わっていくタイプです(笑)。

ビジコンに提出した事業案は、Airbnbの体験版のようなものでした。高校時代にオーストラリアからの留学生がうちにホームステイをしたことがあって、日本の文化、とくにロリータファッションが大好きな女の子。原宿にあるロリータファッションのショップに連れて行ってほしいと頼まれたのですが、何も知らない私より、詳しい子と一緒の方が楽しいだろうと友だちを連れて行ったらめちゃくちゃ話が合って(笑)。多分、彼女が行きたかったジャンルのなかでもかなりいいお店に案内できたと思うし、その子にも友だちにもとても感謝されて、「こういった経験が誰にでもできるようになるといいな」と感じたそのときの思いをそのまま提案したものだったんです。

 

――なるほど。でも、実体験からニーズは感じたものの、実際に起業する時点で事業化は難しいと感じられた?

 

大槻 そうですね。当時の自分に世界に打って出るビジネスができると思えなかったし、どう広げていったらいいのか、その手段が考えられなかったというのはありました。リソースの問題、たとえば描いている事業規模に見合った数の人材をどうやって集めたらいいんだろう、とか。

「社会への課題感」だけで折れない心を維持するのは難しい

――では、実際の起業アイディアにつながった、シンガポールで感じた課題感とは?

 

大槻 日本人はお金について知らない、ということです。シンガポールの子たちは、高校時代にちゃんとファイナンスの授業を受けていて、お金の知識を持っているんです。それで、向こうで知り合った人たちに「ちゃんと投資とかした方がいいよ」「私たちはみんなしているよ」といわれて、衝撃を受けたんです。

その課題感は、シンガポールにも遊びに来てくれた仲のよかった男性に伝えて、「いつかそのアイディアで起業しよう!」という話になっていました。Candleがバイアウトして周りのインターン生も起業機運が高まっているなかで、「いまがそのときなんじゃない?」と感じて立ち上げたのがフィントです。「ファイナンスにヒントを」という意味を込めてつけました。

 

――ああ、そういう意味なんですね。社名の由来、ぜひ伺いたいと思っていました。

 

大槻 そうなんです。“ファイナンスのヒントを提供して、若者とお金を近づけたい”という。ただ、その事業は1年くらいでツラくなってきてしまいました。当時は、ビジネスパートナーとなったその男性と4,5人くらいのインターン生でやっていたのですが、金融系に営業に行くと「若い学生の女の子が、こんな事業で成功するわけがない」といったことをすごく言われる。でも、だからツラいのかというとそうじゃないんですよね。そんなことを言われても、私自身が誇りを持って続けられる事業だったらきっと折れたりしなかったと思うんです。
お金の知識を広めることは社会課題だと思っていたけれど、私が好きなことではなかったし得意でもなかった。経営者である自分が、熱量を持って頑張れないということに気づいてしまったんです。

 

――その話は、当時のメンバーにはどう伝えたのですか?

 

大槻 共同創業してくれた男性には、「会社は続けるけれど、一端解散にして事業内容は変える」と伝えました。自分の力不足で、納得してもらうには時間がかかりましたが、話し合ってわたしは一人でFinTを続けることを決めました。

 

――会社名を変えようとは考えなかったのですか?

 

大槻 それは何度も思いました。でも今後、誇りを持って続けられるサービスや商品が生まれたとき、そのプロダクトと同じ名前に変えたいと思えるタイミングがきっと来るはずだから、そのときまで変えない、それ以外の理由では変えないと誓いました。いまでもまだ、そのフェーズには至っていないと思っています。それに社名が「FinT」のままであることで、いつでも初心に戻ることができるんです。

 

――なるほど。そして、フィンテックビジネスからのピボット。まず最初にされたのは何だったのでしょう?

 

大槻 いったん解散した後は、自分が本当に欲しくて、好きで、かつ得意なことをやろうと決めていました。それで、まず得意なことというところで、これまで経験してきたメディアであるということ。そして、女性が経営する会社自体が少ないので、“女性経営者が作る女性向けのサービス”とするのがいいのかなと思いました。私自身、ライフスタイルまわりや女性向けのプロダクトが好きなので、そのあたりをかけ合わせて「Sucle(シュクレ)」をスタートさせました。

 

後編に続く

(構成・文/阿部志穂)

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プロフィール

  • 大槻 祐依氏

    株式会社FinT 代表取締役 CEO

    1995年生まれ。早稲田大学在学中の2017年3月にFinTを学生起業。「世界をまるごとハッピーに」というビジョンのもと、Sucle(シュクレ)という若年層女性向けSNSメディア(総合64万フォロワー)やSNSマーケティング事業を展開。主要事業であるインスタグラム運用代行にて、大手企業を中心に累計80以上のアカウントを企画、撮影から投稿までサポートしている。主婦向けメディア「わたしの節約」はアカウント立ち上げから半年で30万フォロワー、1年で50万フォロワーを突破したほか、住宅のリノベーション系アカウント「DIYer(s)」では2019年の運用開始から現在に至るまでフォロワー数は約10万人増加。日経ビジネスやマネー現代にも寄稿しており、昨年4月にNewsPicksプロピッカーに就任。