TOP 社長を目指す方程式 「その他大勢」から脱却せよ 戦略的“自己ブランド”創りの黄金法則

2021/05/11

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第65回

「その他大勢」から脱却せよ 戦略的“自己ブランド”創りの黄金法則

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  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上 和幸

 

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今回の社長を目指す法則・方程式:

アル・ライズ+ジャック・トラウト「カテゴリーの法則、対立の法則」

 

「上司として存在感を出したい」

組織を預かる者としては、誰もがそう思うことでしょう。しかし、そう願ってはみても、なかなか思うようにいくものではありませんね。活躍している同僚・上司を真似てみたり、受けを狙ってみたりしても、空回るばかりです。
そんなときは、「自分自身の位置づけ方」を考えてみた上で、戦略的にポジショニングを取ってみるとよいでしょう。今回はそのための絶好の法則を紹介してみます。

優れたブランドを獲得する不変の法則があった。

「ポジショニング戦略」という言葉を聞いたことがありますか?
マーケティング戦略のひとつで、見込み客の心の中に、その商品・サービスの位置づけ(ポジショニング)を行うことを指します。対象は商品・サービスのみならず、企業や組織、人の場合もあります。

 

私たちはポジショニングを知ることによって、競合との位置関係や自社の位置づけの意味を知り、効果的な戦略を立案することができるのです。自社のポジションを知り、差別化(差異化)を図れば、他に追随されない独自のポジションを獲得することも可能でしょう。

 

このポジショニング戦略において秀逸な法則群を提示したのが、マーケティングコンサルタントのアル・ライズとジャック・トラウトです。二人が著した1993年発刊の『マーケティング22の法則』(東急エージェンシー・刊)は、30年近く経った今でもマーケティング関係者のバイブルとされる名著。優れた商品・サービス、あるいは事業・企業は、22の成功法則に則ったポジショニングを実現しているといいます。これを私たちのセルフ・ブランディングに転用してみない手はありません。

自分のNO.1は必ず作れる。

冒頭の通り、上司として存在感を出したいあなたは、自分が他者より優れていることを周囲に納得させようとすることでしょう。マーケティングにおいても、基本的なマーケティングの課題は「自社の商品やサービスが他より優れていることを顧客に納得させること」だと信じている人が多いです。

しかし、その考えは間違っているとアル・ライズとジャック・トラウトは指摘します。

 

マーケティングの基本的な課題は、あなたが先頭を切って「一番手」になれる分野を創造することです。
これが「一番手の法則」で、他に優っていることよりも先頭を切ることの方が大切であり、最初に顧客の心に入り込むことのほうが、最初に入り込んだ商品より自分の商品のほうがベターであると人に納得させることよりもはるかに容易なのです。

 

私たちは概ねNO.1のものしか記憶していません。日本一高い山、最初に大西洋を横断飛行した人、月面に初めて足を置いた人。これらを答えられない人はほとんどいないでしょう。では、日本で2番目に高い山は? 大西洋横断飛行を2番目に成し遂げた人は? 月面に足を降ろした二人目の人は? 知っている人は、ぐんと減ってしまうこと間違いありません。

 

「なんだ、僕には一番のものなんてない。やっぱり自分には存在感を出すなんて無理なんだな…」
そんな風に思われたあなた、諦めるのはまだ早いですよ。

 

何も全社でNO.1、業界でNO.1でなくともよいのです。何かのカテゴリーで一番のものを探す、作ることができればOKなのです。
これが「カテゴリーの法則」で、カテゴリーでNO.1になることで独自性、ブランドを獲得する鉄則です。大西洋横断飛行を最初に成し遂げたのはリンドバーグ、では二番目は? 三番目は? これには答えられなくても、女性で初めて大西洋横断飛行を実現したのは? の問いには、アメリア・イアハートだと答えられる人は多いでしょう。アメリアは女性初として歴史に名を刻みました。決して、三番目に飛行した人としてではありません。(ちなみに二番目に達成したのはバート・ヒンクラーだそうです。)

 

今いるカテゴリーでNO.1になれなかったら、細分化してみる。御社で全国NO.1は難しくても、地域でNO.1、担当商品別でNO.1は取れないでしょうか? あるいは全社でではなかなか特長を訴求できなくても、「課長の中では」「部長の中では」一番○○だというもの、きっとお持ちだと思います。ぜひ探してみてください。

戦う相手と、戦略的に対立する。

あなたが「どこか、特定のカテゴリーで先頭を切れるものを創造すること」(一番手の法則、カテゴリーの法則)と合わせて、ぜひ知っておいていただきたいのが「対立の法則」です。

 

私たちがビジネスやセルフ・ブランディングでやりがちなことは、ヒットしているものやウケているものを見て、それに追随しようとすることです。これでは認知を取ることは叶わないことは、先の話で理解いただけたことでしょう。
ここで企業とあなたがやるべきことは、NO.1の“エッセンス”を見つけ出し、顧客や周囲の人たちにそれと反対のものを提供することです。いわば、相手の上を行こうとせずに、相手との差別化を図り、「あなたとしてのNO.1」を作るのです。

 

NO.1の商品の特徴の逆をいくことで2強、あるいはNO.2のポジションを取れる。これは私たちの周辺にも色々と存在しています。巨人・阪神(阪神・巨人)、早慶、コカコーラvsペプシ、マクドナルドvsモスバーガー。東京vs大阪、田舎者vs都会育ち、伝統と革新、量産vs手作り。対立することで、自社・自分が際立つことが分かります。
できればそこで、自社・自分の“キーワード”を獲得できれば最高です。自動車で「安全性」と言えばボルボ、フェデックスやアスクルは「翌日配送」で市場の地位を獲得しました。「どろりとしたケチャップ」と言えばハインツ。企業は見込み客の心の中にたったひとつの言葉を植え付けることができれば、最強のブランドを獲得し、マーケティング&セールスにおいて大いなる強みを持つことができます。(「集中の法則」「知覚の法則」「独占の法則」)

 

際立つ人は「○○と言えば**さん」という明確な特長(キャラ)を持っていますよね。無意識的にもこうした法則を満たすことをやっているわけです。
ライバル上司が量で際立つなら、あなたは質で突出すれば良い。質ではどうしても勝てない同僚上司がいるなら、あなたはスピードで勝負です。
まずい戦略は、追いかける人の後を同じ色で追うことです。それでは永遠に追いつけることはないし、あなたが個性で際立つチャンスもなくなってしまうのです。

 

あなたの強みや個性を現す、他の上司たちとは異なる「ひと言」、さて、なんでしょう?

 

*         *         *

 

「もし人の心の中にある何かを変えたいのであれば、それは諦めたほうがいい。あるマインドがすでに出来上がっている場合は、それが変わることはまずありえない。マーケティングにおいて最も無駄な行為は、人の心の中を変えようとする試みである。それで不動のものの見方が人の心の中に瞬時のうちに形成される謎がわかる。それまで耳にしたことのなかった人物が、一日にして有名人に変貌する。このような「一夜の激変」は、珍しい現象ではないのである。」(『マーケティング22の法則』)

 

ポジショニング戦略を使って「**と言えば、あなた」というセルフブランドを社内外に確立しましょう。それだけで、仕事も信頼も、相手のほうから自然と寄ってくることでしょう。

 

 

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※この記事は、「SankeiBiz『井上和幸 社長を目指す方程式』」の連載から転載したものです。
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プロフィール

  • 井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。