2021/04/01
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第102回
自分で考えて動く部下が育つすごい質問
- キャリア
- ビジネススキル
- 大塚 寿氏 エマメイコーポレーション 代表取締役
分かりやすいので、最初の営業部門の例をあげましたが、同様のタイプは技術部門にもスタッフ部門にも少なからずいます。いわゆる「詰めが甘い」タイプで、タスクが8割、9割進捗すると、「もう完了した」かのような気持ちになって、最後の最後に緊張がゆるみミスをしてしまう技術者やスタッフはどこの部門にも一定数いるものです。
徒然草に登場する有名な「功名の木登り」が、失敗は油断する時に生まれるということを諭していますが、この教訓を学んで欲しい人でもあります。
さて、こうした部下・後輩に対して、どのような育成をしていけばいいでしょうか?
「やる」ことを絞ってあげる
実は30年前も、20年前もこういうタイプの人は必ずいました。理由は性分というか、多分に性格的なところからくることが多く、代々の先輩社員や上司たちがさまざまな方法を試してきました。その中で、もっとも効果があったのが、「やること」を絞ってあげて、集中体験をさせることです。それをその部下や後輩に働きかける言葉にすると:「思い切って、〇〇だけやってみようか」という言い方になります。
「〇〇だけ」と限定されることによって、私たちは「そのくらいなら、やってみるか」「その程度なら、これからでもできる」「その程度なら、これからでも間に合う」とポジティブに行動を起こせるようになるのです。
この短いフレーズには2つの心理学の原理が用いられています。
まずは、「小分け」の技術。「〇〇だけ」と小分けされると「このくらいなら自分でも十分にやれそうだ」という希望が見えてきます。希望が見えてきたとたんに、モチベーションが高まることから、これを心理学では「希望の法則」と呼びます。
もう一つは集中体験です。部下や後輩の育成に際し、「成功体験」が重要であることに異論のある人はいないでしょう。しかし、その反面、今日、そう簡単に「成功体験」が実感できる機会は多くはありません。そこで登場するのが、集中体験。
実は何かに集中して「やり切った」という体験で得られるものは、「成功体験」と同じなのです。それを繰り返すことによって部下や後輩は集中体験を学習していきますので、「やり切る」にたる行動を起こすようになります。
他に、切り口を変えて、本人に考えさせる:「“やり切った”って実感するためには、あと何が必要かなぁ?」問いかけもいいでしょう。
さらには、他の人のベンチマーキングをさせたり、見本、手本から自分との違いを考えさせたり:「“やること”と“やり切ること”の違いって、5年目のSさんを見ると分かりやすいから、その行動を見て感じたことを報告してくれる?」という方法もありますので、ぜひ、使ってみてください。 他の記事も読む。60秒で簡単無料登録!レギュラーメンバー登録はこちら >
■書籍情報
自分で考えて動く部下が育つすごい質問30 (青春新書インテリジェンス) (日本語) 新書
著者:大塚 寿
出版社: 青春出版社
価格:1,012円(税込)
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
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