2020/12/24
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第95回
自分で考えて動く社員が育つOJTマネジメント
- キャリア
- ビジネススキル
- 中尾 隆一郎氏 FIXER 執行役員副社長
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この本のアイデアのきっかけは、2016年、私がリクルートワークス研究所(以下ワークス)に在籍していた時でした。当時の研究所長の大久保幸夫さんから「中尾が担当した組織や私が担当した組織は、なぜメンバーが自律して考えるようになり、業績を出し続けられるのか考えてみよう」というものでした。 それをリクルートワークス研究所内の資料としてまとめたものが「メンバーのwillを発見してアサインするマネジメント(Team Managerial Behavior cycle)」でした。これを1つのインプットとしてワークスの研究員が発表したのが、「ミッションアサインメントモデル2017年」です。現在は最新調査を元に2019年版がワークスのwebで公表されています。
しかし一抹の不安がありました。
その不安は、中尾が実践してきた「OJTマネジメント」に汎用性があるのかという事です。理論的に正しいのか。リクルート以外で通用するのかでした。
その時、本質行動学の第一人者、西條剛央さん主催のEssential Management School(EMS)で学ぶ機会を得ました。そして中尾の実践してきた「OJTマネジメント」が、学問的に強度があることを確認できました。(中尾の論文は、最優秀論文に選ばれました。)
並行して、この1年半で、大手企業から成長企業、経営者から新入社員まで、さまざまな業界、階層の人たちに対して「OJTマネジメント」のノウハウを提供しました。その結果、「OJTマネジメント」で成果が出る対象について把握する事ができたのです。
「OJTマネジメント」は、人が価値の源泉であると考えている組織に対して効果を発揮します。つまり組織のメンバー一人一人が主体的に考えて「自律自転する組織」を作りたい組織に効果があります。
一方で、少数の人が方針を決め、他の人はそれに従えばよいと考えている組織、人では、効果がありません。
繰り返しになりますが、「OJTマネジメント」は、私が1人で考案したものではありません。リクルート時代の高業績を挙げている組織、例えばほんの一部を紹介すると平尾勇司さんが担当した時代のホットペッパー事業やその後の狭域領域事業、本原仁志さんが担当した国内外の派遣事業、釘崎広光さんが担当したリクルートマネジメントソリューションズ、峰岸真澄さんが担当した時代のリクルート住宅事業の分析は重要なインプットになっています。
また私自身の年間100冊×20年間の書籍からのインプットも有効でした。上述のリクルートワークス研究所での大久保さんとの思索もフレーム化するために役立っています。
更に、ここ1年は、1on1を進化させたGC(グループコーチング)を主宰している鈴木利和さん、30万人以上が利用する協働学習ツールteamTaktを開発したエンジニアでもある後藤正樹さんと一緒に「OJTマネジメント」に有効なノウハウと最新のテクノロジーを加えて、進化し続けています。
そして、さまざまな会社、組織、個人が興味を持ってくれて、現在、「OJTマネジメント」の仲間の輪が広がっています。この本を通じて、1人でも多くの仲間が増えて、「OJTマネジメント」の実践者を増やしたいと考えています。
この本の3つの読み方
1つ目は、前から読んで、現在のOJTやOff-JTの状況を理解した上で、「OJTマネジメント」を習得するという方法です。最もオーソドックスな読み方です。2つ目は、「OJTマネジメント」には興味はそんなにないけれど、今すぐ自分たちのOJTに活用できるノウハウを知りたい場合の読み方です。これは3章を中心に読むことを薦めます。リモートで仕事をしている人たちに役立つノウハウが載っています。
3つ目は、すぐに「OJTマネジメント」を実践したい人向けです。6章と7章を読むと「OJTマネジメント」の核となる「グループコーチング(以下GC)」の実践方法が載っています。この本の中核になります。時間が無い場合は、ここだけでも読んでください。
GCは1on1の課題(時間がかかる、相性問題が起きる、能力問題が起きる、型がなく形骸化しがち)を解決した進化型のOJTの仕組みです。
ポイントを以下にまとめておきます。GCは4人の参加者とファシリテータがZoomのようなテレビ会議システムとteamTaktのような協働学習ツールを使って毎週1時間で実施します。事前と事後の時間を合わせても週に1時間30分ほどの時間でできるので、とてもお手軽です。しかし、その効果はとても高いのです。