2020/12/03
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第92回
最高の結果を出すKPI実践ノート
- キャリア
- ビジネススキル
- 中尾 隆一郎氏 FIXER 執行役員副社長
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2019年に出版した「最高の結果を出すKPIマネジメント」(フォレスト出版)は、おかげさまで10刷を数え、既にベトナム語版が出版され、中国語版も出版の予定です。この本を読むだけで、KPIの本質が理解でき、実践できたという声がたくさんありました。本当にありがたいことです。 また、その後30回を超える企業、組織からKPIに関しての講演やKPI作成支援の依頼もありました。業種も規模もさまざまです。IT、旅行、小売、求人、化学メーカー、広告代理店、エンタメ、設備メーカー、サービス業、税理士の団体、公認会計士の団体、中小企業の支援団体、新聞系イベント、市役所などです。
状況も、既にKPIを入れているのだけれど、うまくいかないので何とかしたいという会社もあれば、今からKPIを本格導入したいという話もあれば、経営者はKPIを入れたいと考えているけれど、現場が反対しているので、説得してほしいというかなり難易度の高いものまでありました。
変わり種は市役所。市長、副市長、市の幹部と「市の人口を増やす」事をゴールにKPI設定のワークショップをしました。幸い、同市は人口が増加しだしました。この1年の活動を通じて、KPIマネジメントは、ほぼ全ての組織で活用できる可能性が高いことを実感できました。
そして、さまざまな組織、団体とKPIについてディスカッションをする過程で、うまくいかないケースの共通点も見えてきました。そして、どこを深く説明し、よりシャープにすると分かりやすく、さらに実践的になるのかというポイントも分かってきました。それらの学びを受けて今からKPIマネジメントをスタートする、あるいはカイゼンしたい企業、人の両方に対して、より実践的な内容にできました。
最初の DAY1 から順番に読んでいけば、自社、自組織の KPIマネジメントがスタートできるような実践的な構成にしました。DAY1 から DAY5 まで、ちょうど1日ずつ読んで、1週間で習得できるつくりになっています。
前著「最高の成果を出すKPIマネジメント」を読んでいない人向けに、DAY0にKPIマネジメントの概要もまとめました。前著を読んでいる場合は、復習として使えると思います。
それぞれの章にどのような事を書いているのか概要を説明しましょう。
DAY0:KPIマネジメントの勘所
ここではKPIの定義を確認します。加えて、KPIマネジメントには、Goal―KGIとCSF-KPIという2組、合計で4つの重要な登場人物(Main Character)が必要であることを確認します。実は、KPIマネジメントを実行する前にGoal-KGIが関係者でずれている事が多いのです。関係者でGoalがずれていては、当たり前ですがGoalにたどり着きません。
DAY1:MC4確認のワークショップ
私のKPIマネジメント講座の中で、みなさんに「ずれ」を体感してもらえるワークがあります。そのワークショップの仕方を書いています。このワークショップをするとずれを体感できます。その結果、関係者が集まってMC4の確認を始めるのです。その確認作業や議論に大きな意味があるのです。
DAY2:KPIマネジメントのステップ
私に対する、企業からの相談は「業績成長」あるいは「新規事業立上げ」というケースがよくあります。ところが、この相談が結果としてKPIマネジメントを導入するきっかけになることがよくあるのです。ここでは、その業績成長のためのKPIマネジメントを設計する具体的なステップを説明しています。この手順に沿って実施すると、事業成長シナリオを描けるようになります。
DAY3:CSFの見つけ方とその事例
シナリオを作った後に、どのステップが事業成長のカギ(CSF:Critical Success Factor)なのかを特定するステップです。ここがKPIマネジメントの肝の部分です。その基礎となる考え方が「制約条件理論:TOC Theory of Constraints」です。制約条件理論という言葉は知らなくても、エリヤフ・ゴールドラット教授の著書「ザ・ゴール」シリーズを読んでいるかもしれません。「制約条件理論」はさまざまな場面で役立つ考え方です。もちろんKPIマネジメントもそうです。プロジェクトマネジメントでもそうです。予算管理や時間管理でも役立つ応用範囲の広い理論です。この概念と活用の仕方を学びます。そして、その結果、CSFを特定することができるのです。
DAY4:ケーススタディーから学ぶKPI事例集
事例を6つ用意しました。DAY3で確認したCSFからKPIの目標数値を設定する参考にできると思います。(1)成約課金型ビジネス
(2)グループの戦略IT子会社
(3)サブスクリプション・モデルのビジネス。
(4)大手物流業
(5)自動車販売業
(6)大手建設業
など、さまざまな企業規模、業種から参考になりそうな事例を選びました。実は同業の事例よりも異業種の事例にヒントが隠されている事が少なくありません。前著「KPIマネジメント」にも11の事例が載っています。合わせて参考にしてみてください。
DAY5:KPIマネジメントの体制と進め方
DAY4まででMC4が確定しました。ここでは実践するためのノウハウをまとめておきました。ポイントは5点です。「管理会計としてのKPIマネジメント」「共通理解と用語の統一」「4MC確認ワークショップで現状把握」「Goalと現状とのギャップで進め方を決定」「進捗管理をグループコーチングで実施」です。導入する企業の状況に合わせての処方箋のような位置付けになります。
最近は、最後の「進捗管理をグループコーチングで実施」するニーズが高まっています。
KPIマネジメントを実践する中で、大小さまざまな問題が出てきます。それをグループコーチングという手法で解決するのです。これは、研修というOff-JTと現場での経験学習であるOJTを組み合わせた方法です。これを導入することで、習得したKPIマネジメントを日々進化させることができるのです。
この手法を「自分で考えて動く社員が育つOJTマネジメント」と名付けて、11月に出版しましたので、興味がある方が合わせて手に取ってみてください。
※本を購入した特典としてこのOJTマネジメントを紹介したZoomの動画も視聴できますので、合わせて利用してください。
最後に「よくある質問」への回答も付けています。これはKPIマネジメントの講座をする中でのよく出てくる質問への回答です。実際にKPIマネジメントを実践する際の参考になると思います。「KPIを変えてよいのか?」「スタッフ部門なのでKPIは関係ないと思いますが?」「CSFを1つに絞れない場合、どうしたらいいか?」「KPIとOKR はどこが違うのか?」などです。
とても読みやすい本だと思います。良かったら、ぜひ手に取ってください。
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■書籍情報
『最高の結果を出すKPI実践ノート』
著者:中尾 隆一郎
出版社:フォレスト出版
価格:1,980円(税込)
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
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