2020/10/26
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経営幹部・エグゼクティブのためのキャリア&転職を考える
第7回
アフターコロナの時代、経営人材に求められる ”新しい条件”
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コロナを契機に私たちを取り巻く環境は大きく変わりました。この新しい環境下において、事業の目標を設定し組織を率いていく“経営人材”に求められる要素は変化するのでしょうか。
コロナ以前から、私たち経営者JPでは、リーダー、そして経営人材には「5つのチカラ」が大切であるとお伝えしてきました。
経営人材に必要な「5つのチカラ」
①「描く力」「描く力」とは構想力を指します。
経営者や事業責任者、リーダーとして、自社あるいは自部署におけるビジョンや最終目標などの目指すべき姿、またそこに至るまでの道筋を描ける力です。そのためには、従来のやり方をただ踏襲するのではなく何を捨てるのか、といった視点も大切になります。
②「決める力」
「決める力」とは決断力のことです。
人間は無意識かつ意識的に決断をしています。リーダーにとっては、毎時間・毎分毎秒が決断の連続であり、その決断が事業やチームに大きな影響を与えます。特に変化の激しい時代においては、より素早く、かつ適切な決断が求められます。その際には、判断基準を自身で作ること、判断に必要な情報が揃わない場合でも想像力を働かせてできる限り状況を的確に捉えること、そして、たとえ厳しくとも勇気をもって決める覚悟をもつことが必要です。
③「やり切る力」
「やり切る力」とは業務遂行力です。
描いたこと・決めたことをそのままで終わらせず、徹底的に実行する力のことを指しています。
物事を進める上では、スタートしたら計画通りに上手くいかないということもあるでしょう。その時に諦めたり、何かのせいにしたりするのではなく、何がネックになったのか、どうすればよいのかなど、調整や修正を重ねながらやり切ることができるかどうか、が大切なこととなります。また、自身が決めた目標を達成するために逆算し、一つひとつのステップを根気強くクリアしていく逆算思考やその過程を前向きに捉え、地道に着実に積みかさねていく姿勢も重要になります。
④「まとめる力」
ここでいう「まとめる力」とは、事業の進む方向に向けて関連する方々をまとめていくリーダーシップ力のことです。「まとめる力」と聞いて、調整役的なまとめ役をイメージする方もいらっしゃると思います。もちろん、伝達や調整・とりまとめも大切ですが、経営人材に求められるものはそれだけでは足りません。
事業を推進する上では、いかに周囲を動かし・巻き込んでいくかが重要であり、それを率いるためのリーダーシップ力が必要になります。この力が高いかどうかが事業を大きく伸ばせるかどうかの鍵になります。
⑤「学び続ける力」
「学び続ける力」とは、その名の通り、学習力そしてそれを習慣化させる力です。
時代と共に価値観や技術は変化します。変化に対応するには、従来の慣習や考え方、過去の成功に固執せずに、様々な事象やあらゆる世代から学び、自分自身を常にアップデートしておくことが必要です。また、それを一時のものにせず、反復しながら自らのものにする姿勢が大切だと考えます。
上記、①「描く力」②「決める力」③「やり切る力」をプラスすると、「事業への明確なビジョンを描き、素早く適切な決断をして、最後までやり切る」ベースができます。これらはリーダーとしての土台を構築する基本的な力となり、経営人材にとっては、それぞれの因子をいかに大きくするかが重要になってきます。
この3つの土台に、どのようにリーダーシップを発揮するか(④「まとめる力」)、また学びによって引き出しをいかに多く持ち、人間性を高めていくか(⑤「学び続ける力」)がかけあわさり、経営人材として走り続ける力となるのです。
この5つのチカラは普遍的なものであり、コロナ発生後の現在も変わりません。むしろ、より高いレベルで求められるようになっているともいえます。 では、ウィズコロナ、アフターコロナの時代において、経営人材に求められる能力は上記の5つのチカラだけで十分なのでしょうか。
コロナによって変わったことの一つは、感染拡大防止のために外出が制限され、非接触を推奨する中で、人々の生活スタイルや価値観が変化していることです。業種業態によって差はありますが、顧客に提供する価値そのものの変化や従来自分たちが持っていた事業の価値観を大きく変えていく必要に駆られる企業が多いことが考えられます。
また、働き方も大きく変わりました。緊急事態宣言下でデジタル化が急速に進んだことで、リモートワークが当たり前ともいえる世の中になりつつあります。この流れはコロナ終息後も変わらないことでしょう。リモートワークなど場所にこだわらない働き方が一般化すると、従来のように同じ職場の中で働くことが減るため、社内コミュニケーションの方法の改善や、より結果を重視した評価へのシフトなどが模索されることになるでしょう。
このような環境の変化に伴って、経営人材のあり方も変化していく必要があり、さらなる新たなチカラが必要になってくると考えます。それが「飛び越える力」と「伝える力」です。
ウィズコロナ・アフターコロナで新たに加わる2つのチカラ
⑦「飛び越える力」「飛び越える力」とは今までの枠を飛び越えて思考し、行動を起こす力のことです。
コロナ後の社会においては、過去の慣習やデータが参考にならず、新たな視点が必要になることでしょう。コロナ発生後の人の行動変化やそれによって生まれるチャンスに目を向けることや一見異なる複数のものを抽象化し共通点を見出す、などの類推する力が有効になります。
ここで生まれた新しいアイディアは一見すると突飛なものもあるかもしれません。だからこそ、信念をもって実行していく強い瞬発力が必要になるのです。
⑧「伝える力」
「伝える力」はその名の通り「伝達力」です。
緊急事態宣言下でリモートワークが普及し、相手に伝えることの難しさを痛感した方も多いのではないでしょうか。リモート環境においては、部下が会社の状況や会社の戦術、状況を読み取りにくくなります。だからこそ、従来以上にしっかりと状況や戦術をより分かりやすく、かみ砕いて伝えていく必要性が高まります。このような環境の中で、新たな組織づくり・チーム作りを行っていく際には、従来以上の求心力が必要になります。
口頭でのコミュニケーションだけではなく、メールやチャット、業務ツールを介して、要点を確実に伝えることはもちろん、その前後の文脈までもどのように相手に受け取ってもらうか。デジタルツールを使いこなすことも含めて「伝える」ということについても新たな角度でのチカラが必要となってきています。
新型コロナウィルスの発生によって、ビジネスの在り方を変えなければならない企業と、働き方そのものが大きく変わる会社がでてきました。そのような状況だからこそ、5つの力に加えて「飛び越える力」と「伝える力」の2つの力を兼ね備えた経営人材の出番だとも言えます。今日段階で7つの力は全てが十分でなくとも、ご自身の意識と訓練次第で身につけていくことができます。また、3つでも4つでも満たしている方であるならば、よい機会にさえ恵まれれば、アフターコロナで求められる“真の経営人材”に成長できる可能性があります。我こそはと思われる方がおられましたら、ぜひご連絡ください。