TOP 敏腕キャピタリストの着眼点 慶應義塾発のVC――大学の研究成果を活用して革新的事業のスタートアップに投資。新産業の創出へ 【後編】

2020/10/08

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第17回

慶應義塾発のVC――大学の研究成果を活用して革新的事業のスタートアップに投資。新産業の創出へ 【後編】

  • 組織
  • 経営
  • 株式会社 慶應イノベーション・イニシアティブ 代表取締役社長 山岸 広太郎氏
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上 和幸

 

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株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ(=以下KII)は、慶應義塾大学発のベンチャーキャピタル。慶應の研究成果を活用して、デジタル領域と医療・ヘルスケアの分野で革新的な新事業を行うスタートアップへの投資を行っています。後編では、代表取締役社長の山岸広太郎氏に、投資を決める際のポイント、成長する経営者の共通点、お勧めの注目企業などをうかがっています。

(前編はこちら)

 

リチウムイオン電池で世界を変える:注目ベンチャー企業①APB

井上 投資先のなかで山岸さんが「ぜひこのベンチャーを注目して欲しい」という企業を何社かご紹介いただけますか。絞るのは難しいと思いますが。

 

 

山岸 社外から一番注目されているのが、『APB』という会社です。この社名は「オール・ポリマー・バッテリー(全樹脂電池)」の略で、次世代のリチウムイオン電池をつくっている会社です。

 

従来のリチウムイオン電池には、「製造工程が複雑」、「発火・爆発の危険性がある」、「形状やサイズのフレキシビリティがない」、「スケーラビリティがない」、「コストが高い」、「リサイクルがしにくい」…といった多くの課題があります。しかし、APBの全樹脂電池は、電解質をゲル状のポリマーにし、電極に金属を使わず、導電性の樹脂でつくることなどから、上記の課題をほぼすべて解決している画期的な電池です。

我々も会社設立時から支援していまして、設立から1年半で90億円くらい調達してします。

 

 

井上 それはすごい! まさに、同社のサイトにあるように「電池で世界を変える」ですね。

 

 

山岸 はい、世界的にもかなり注目されています。先日、『Bloomberg(ブルームバーグ)』にも取り上げてもらったのですが、その後は1日100件くらいの問い合わせが来たそうです。

 

 

井上 もう出てくるわけですね、このプロダクトは。

 

 

山岸 現在福井県に量産工場を作っているところで、2021年に生産を開始する見込です。

 

脊髄損傷やALSの画期的な治療法確立をめざす:注目ベンチャー企業②Kringle Pharma

井上 他にはどうでしょうか。

 

 

山岸 『Kringle Pharma(クリングルファーマ)』という創薬バイオベンチャーがあります。同社は、大阪大学が見つけたHGF(肝細胞増殖因子)の医薬品研究開発を行っていて、脊髄損傷やALS(筋萎縮性側索硬化症)など、いまだに完全な治療方法が確立されていない難病に苦しむ患者さんを救うための、画期的な治療法の確立をめざしています。

 

例えば、いま、慶應と一緒につくっている脊髄損傷の薬は、治験のフェーズ3に入っていて(治験は、フェーズ1、2、...

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プロフィール

  • 山岸 広太郎氏

    株式会社 慶應イノベーション・イニシアティブ 代表取締役社長

    慶應義塾大学のVC「慶應イノベーション・イニシアティブ」(KII)の設立時より代表取締役社長を務める。45億円の1号ファンドを運用。KII以前は、日経BP編集記者、CNET Japan編集長を経て、グリーを共同創業。副社長として事業部門などを統括(現在は非常勤取締役)。 慶應義塾大学経済学部卒。

  • 井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    早稲田大学卒業後、リクルート入社。コンサルティング会社取締役、リクルートエグゼクティブエージェントマネージングディレクター等を歴任。2010年経営者JPを設立し、現職。