2020/10/01
1/1ページ
敏腕キャピタリストの着眼点
第16回
慶應義塾発のVC――大学の研究成果を活用して革新的事業のスタートアップに投資。新産業の創出へ 【前編】
- 組織
- 経営
- 株式会社 慶應イノベーション・イニシアティブ 代表取締役社長 山岸 広太郎氏
- 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上 和幸
株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ(=以下KII)は、慶應義塾大学発のベンチャーキャピタル。慶應の研究成果を活用して、デジタル領域と医療・ヘルスケアの分野で革新的な新事業を行うスタートアップへの投資を行っています。
代表取締役社長の山岸広太郎氏は、慶應義塾大学を卒業後に株式会社日経BPで編集記者を経験。その後『CNET Japan』編集長を務め、2004年に『グリー株式会社』を共同創業。副社長として10年間、同社の成長を支えた後(KII代表取締役社長就任に伴って現在は非常勤取締役)、2015年のKII設立と同時に現職に就いています。
山岸さんに、VCという仕事にたどり着くまでの経緯や、投資を決める際のポイント、成長する経営者の共通点、お勧めの注目企業などをうかがいました。
編集者からグリーの副社長へ
井上 まずは、現職に至るまでの流れを簡単にうかがいます。山岸さんは慶應の経済学部卒業後、新卒で日経BPに入られていますね。
山岸 インターネットが世の中を変えていくことが面白くて、そういった仕事をしたいと思っていました。大学生のときにはITベンチャーで毎日アルバイトをしていたのですが、いきなりベンチャーに就職するのもどうかと思ったのと、当時インターネットの会社というとソフトバンクかヤフーくらいでしたが、自分にはしっくりこなかったので、他に選択肢がないということで日経BPに入りました。当時、日経BPはインターネットのウェブサイトの配信もすごくやっていましたし、私が買っていた本はだいたい日経BPの本でしたので、「とりあえず、ここにいたら興味のないことをやることはないだろう」という感じでした。
井上 なるほど、確かに当時でインターネットへの取り組みやデジタルメディアへのいち早い着手があったのは日経BPでしたね。実際に入社されてどうでしたか。
山岸 入ってみると、とても面白かったんですよ。最初は紙の雑誌の編集部に配属されて、それからウェブ媒体の編集部に行って、海外の会社からソフトウェアを買ったり、ウェブ配信のプラットフォームをつくったりと、いろいろやらせてもらいました。
井上 いいですね。しかしその後転職されて、アメリカ企業のウェブサイトの編集長を務められたのは、どんな経緯だったのですか。
山岸 2001~2002年ごろは、ドットコムバブルが弾けて、日経BPの中でも、「やっぱりネットじゃなくて紙だな」みたいな感じの時期がありました。私としては「ここから紙の編集者になってもなあ…」と思ってい...
こちらは会員限定記事です。
無料会員登録をしていただくと続きをお読みいただけます。