2020/06/09
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社長を目指す方程式
第41回
ウィズコロナ時代のオンラインワークは「説明力」で勝負
- キャリア
- ビジネススキル
- マネジメント
- 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
◆「例示力」は、分からないものを相手が知っているもので説明する力
「例示力」とは、相手がまったく分からないものを、おおよそわかるもので説明する説明力を指します。
例示のうまい人は、くどくど説明せずに、的確な(ひとつの)具体例で説明を終え、相手を納得させてしまう。齋藤教授は、そう言います。
古今東西、名言や格言というものは、喩え話でできてますが、私たちもビジネスシーンにおいて、様々な喩えを使っていると思います。
新商品や新事業を説明する際に、別業界の同じモデルのものを持ってきて「BtoBのメルカリを目指します」などと説明してみたり、仕事のスタイルを一流のアスリートやアーチストになぞらえてみたり。
大事なことは、<相手の属性に合わせた例え>を繰り出すことです。20代の女性相手か、60代の男性相手か。どのような業界、職種の人か。生活圏や趣味は? などで、相手に刺さる例示は異なります。20代女子に「長嶋茂雄」の喩えを持ってきても今やあまり伝わらないでしょうし(一茂なら別の意味で使えるかもしれませんが(笑))、60代男性に「あいみょん」はあまりピンとこないでしょうから…。
例示力もセンスのような部分がありますけれども、こちらも常に「これは、何と似ているのだろう?」と考える癖〜「地頭力」の細谷功さんが言うところの<アナロジー思考>=具体と抽象の往復運動〜を身に付けることで、結構行けるようになるものです。(親父ギャグにならないようにだけ、要注意?!)
「時間感覚」「要約力」のところでもお話ししましたが、オンライン時代の上司力とは<視聴者を惹きつけるひな壇芸人力・コメンテーター力>にかなり近寄っていくように思われてなりません。我々も日々、芸を磨く必要がありそうですね(苦笑)。
さて、説明力=「時間感覚+要約力+例示力」について概括してみましたが、齋藤教授がその著書『頭のよさとは説明力だ』(詩想社新書)の中で、上手な説明の基本構造について紹介してくださっています。これは覚えておけば、今日から誰にも使えるものですので、ぜひ活用ください。
<<上手な説明の基本構造>>
1)まず、一言で言うと「こう」です。(本質を要約し、一言で表現。キャッチフレーズ的)
2)つまり、詳しく言えば「こう」です。(要約したポイントを最大3つ。重要度や聞き手の求める優先順位を加味して示す)
3)具体的に言うと「こう」です。(例示。エピソード、自分の体験などで補足)
4)まとめると「こう」です。(これまでの説明の最終的なまとめ)
<<上手な説明の応用型「通説but」>>
1)いままではこう理解されていましたが、実は「こう」なのです。(通説but)
2)それはこういうことです。(詳しい説明。要約したポイントを最大3つ)
3)たとえば、「こう」です。(具体例、エピソード、データなど)
4)つまり、こうなのです。(全体のまとめ)
できる人、説明上手な人の話し方や資料は、共通してこの構造を持っています。あなたも取り入れて、周囲から一目置かれる説明上手人になってください!
* * *
ウィズコロナのオンラインワークでは、ビフォーコロナ以上に「くっきりと」説明、説得して人を動かす力が求められます。
しんどいなぁと感じる上司のかたもいらっしゃるかもしれませんが、一方では、忖度ばかりの社内政治は苦手だなぁと思っていた中間管理職層で、仕事のテーマ・中身に集中して仕事をしたい説明上手、説得上手な上司のあなたには、チャンス到来!でもありますね。
※この記事は、「SankeiBiz『井上和幸 社長を目指す方程式』」の連載から転載したものです。
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