2020/03/16
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私が経営者になった日
第37回
【鳥越淳司氏】大切なのは形ではなく、まず動くこと。(Vol.1)
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- 経営者インタビュー
- 鳥越 淳司氏 株式会社相模屋食料 代表取締役社長
●主役は物、管理系ではない。
「破綻しそうになると、ロスがどうしたとか、生産効率がどうしたとかという話ばかりになる。しかも、それを現場に押しつけて、そんなことをやっても無駄だということがわかっていながら、数字でワーッと書いて計画書を作って、それをやらなければならなくなっていきます。主軸が工場という物づくりのメーカーでありながら、物づくりの現場ではなくて管理系の人たちが主役になってしまうと、どんどん現場が疲弊していって“物づくりなんかどうでもいいんだ”となりかねない。豆腐を見ても“ここにあるのは数字の白い塊なんだ”というふうに、みんなが思い始めます。それを一掃できるようになるというのも、私に現場での一番初めの経験があったからだと思います。」
鳥越氏の20年前に他界した実父はサラリーマンだ。経営者の下で育ったわけでもなく、帝王学を学ぶというようなことが全くない中でやっていたのが逆に良かったのかなと思うという。「夢だけ語れるというかですね、見本がないものですから、経営者にどんな挫折があるかなんて知らないですし、一生懸命やれば何とかなるよというふうに心底信じられたというのが良かったのではないかなと思います。難しさは感じないですね。そういうのを感じたり、リスクをどういうふうに取ろうかという分析をしたりする前に動くという癖ができていますので。計画はまずつくりませんし、何か形をつくってということは絶対にやりません。思い立ったが吉日で“やっちゃえ、やっちゃえ”と。そのかわり必死になって、死ぬほど努力はしますので、しっかり結果も出ているのかなというふうに思います。」
(続く)
(構成・文/阪本淳子)