TOP 社長を目指す方程式 新年度の転機を乗り越える「4つのS」 環境変化に負けない行動とは

2020/02/04

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社長を目指す方程式

第32回

新年度の転機を乗り越える「4つのS」 環境変化に負けない行動とは

  • キャリア
  • ビジネススキル
  • マネジメント

◆転機には3つのフェーズがある

シュロスバーグは転機を3つのフェーズ、「転機の始まり」「転機の最中」「転機の終わり」に分けています。

「転機の始まり」では、転職先や異動先などで新しい場での人間関係や規則、暗黙の規範を受け入れ、自分に馴染ませるために多くの時間を費やす必要があります。
「転機の最中」では、こうした努力とそれまでの延長にある仕事の仕方や生活パターンとのバランスをどう取っていくのか。その取り組みについて、職場の人間関係や家族との関係がサポーティブな環境にあるのか、あるいはなかなか支援を得られない逆境にいるのか。また、自分はその転機の渦中をどう捉え、感じているのかをしっかり自覚することが大事。
「転機の終わり」は、一連の転機が終わり次に何が来るのかを問いかけ始めるときだとシュロスバーグは言います。

そもそも転機には一回性の終わりがあるわけではなく、一つの転機がまた、新たな転機を生み出していく。転機のプロセスは永続的に続くものであり、それぞれの転機は次第に日常の仕事や生活に統合されていくのです。

私なりにシュロスバーグの転機へのアプローチを解釈しますと、とかく転機にあるときに人は比較的大きなストレスを抱えますが、そのストレス(概ねはこれまでと異なる環境や価値観、考え、行動といった変化からもたらされる)への適切な対処が、転機を乗り越え、次のステージの自分へと導いてくれるのだということだと思います。

◆転機を乗り越えるための資源、「4つのS」

シュロスバーグは、どんな転機でもそれを見定め、点検し、受け止めるプロセスを通じて乗り越えていくことができると言います。その転機を乗り越えるための資源は、Situation(状況)、Self(自己)、Support(周囲の援助)、Strategies(戦略)の「4つのS」とのこと。

Situation(状況)は、引き金(何が今回の転機をもたらしたのか)、タイミング(この転機は時宜を得たものと言えるか)、コントロール(自分でコントロールできる部分があるか、それはどの部分か)、役割の変化(はどのようなものか)、期間(長く続くか、一時的か)、ストレス(ポジティブに捉えているか、ネガティブか)、過去に同じ転機の経験があったか、などの状況について。

Self(自己)は、転機による変化の対処に関係する個性(年齢、男女、健康状態、社会的地位、民族性など)、心理的資源(楽観主義、自己効力感、コミットメント、価値観、レジリエンスなど)のこと。

Support(周囲の援助)は、転機を乗り越えるための援助を受ける人脈を持っているか(配偶者、パートナー、親しい家族、友人、同僚、同業者、隣人、組織、団体…)、それらからどれくらいの好意(愛情、賞賛、尊敬)、肯定、助力を得ることができるか。

Strategies(戦略)は、①状況を修正するように働きかける②問題の意味を変える③ストレスをマネジメントできるよう対応する、の3つが有効であるとしています。

プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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