2019/11/21
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第56回
50代で退職したらどうなる? 辞めてはいけない4タイプ
- キャリア
- ビジネススキル
- 前川 孝雄氏 株式会社 FeelWorks社長・株式会社働きがい創造研究所会長・青山学院大学兼任講師
50代からの転職は往々にして前職より規模の小さな企業で働くことになります。大企業から中小企業に転職すれば自ずと幅広い仕事を担うことが求められますし、独立起業すれば、あらゆる仕事を自分一人でこなす覚悟が必要です。変化の時代には、新たな状況や環境の中で貪欲に学ぶ姿勢が不可欠なのです。その準備ができていない早期退職はリスクが大きいのです。
◆その3、根拠なく楽観する人
大企業で一定のポストに就き、高い収入を得ているミドルには、自分にそれだけの社会的価値があるというプライドがあります。そのために、自分の市場価値や相場をしっかり調べることもせず、根拠なき楽観主義に陥いる場合があります。「大手の管理職経験者の自分なら中小企業の仕事など簡単に務まるはず」「転職先の年収は、ぜいたくは言わずとも700万位は欲しい」など。しかし、そもそも大企業の管理職世代が得ている高額の年収は、初任給や若手時代の給与が低く抑えられた分、後払いで高く支払われる年功序列型ゆえ、現時点での本人の能力に対する時価ではありません。
日本の雇用者の4割は年収300万円以下であり、自分の転職後の市場価値を正しく見積もれば収入半減以下の可能性もあるのです。さらに言えば、セカンドライフで実際にどれだけのお金が必要なのか、現実的な生活レベルの見直しも必要でしょう。その準備も覚悟もない人は、辞めてはいけません。
◆その4、自分を客観視できない人
「上司が自分を正当に評価しない」との理由で退職を考える人は少なくないものです。上司への不満や上司と折り合わない悩みは、多くの組織人に共通します。確かに中には理不尽な上司もいるでしょう。しかし、上司への不満ばかりを語り、感情的な行動に走る人は、往々にして自分を客観視できていない傾向があります。自己評価と上司からの評価が違う場合、客観的には上司評価の妥当性が高い場合が多いものです。特に大企業の評価システムでは、上司は個人的感情だけで部下を評価できず、多面評価や人事部門からの情報も踏まえている場合も多いでしょう。自己評価は主観的で高めなのに対して、低く感じられる他者評価のほうが実像に近いものなのです。
そもそも上司からの評価が低く関係が良くないのなら、それをいかに改善、解消するかこそが、キャリア自律したプロフェッショナルに求められる力です。上司との人間関係を理由に転職しても、また同じことを繰り返します。起業し自営業に転じたら「顧客が評価してくれない」とこぼしても、はじまりません。それを改善し、価値を提供するのが仕事なのです。そうした冷静な判断ができないうちに辞めるのは危険です。
著書『50歳からの逆転キャリア戦略 「定年=リタリア」ではない時代の一番いい働き方、辞め方』(2019年11月19日発行、PHP研究所)では、以上の4つタイプの他に3つのタイプも詳しく解説しています。そのうえで、50歳からの20~30年を生き生きと生き抜く具体的な事例を紹介し、自分のキャリア戦略をオリジナルワークシートでシミュレーションして考えられるように構成しています。人生100年時代。キャリアの後半戦に後悔したくない方はもちろん、前向きにもう一勝負したい方はぜひご一読頂ければと思います。
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■書籍情報
『50歳からの逆転キャリア戦略』
著者:前川 孝雄
出版社:PHP研究所
価格:1,001円(税込)
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
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