2019/09/27
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プロ経営者の条件
第4回
都市銀行でバブル崩壊を経験。目の当たりにした企業の栄枯盛衰が志を抱くきっかけに
- プロ経営者の条件
- 経営者インタビュー
- 経営
- キャリア
- 高家 正行氏 株式会社カインズ 代表取締役社長 CEO
創業者一族の中から、あるいは優秀なメンバーが社内競争を勝ち抜いた末にその座に就くことが多い日本の経営トップ。だが、2000年代に入ってから、欧米スタイルともいわれていた「プロ経営者」への注目が徐々に集まり始め、今や実績、存在感ともに無視できないものになってきている。
では、プロ経営者をプロフェッショナルたらしめる条件は何だろう?
「プロ経営者の条件」、二人目のプロ経営者としてご登場いただくのは、業界に先駆けてSPA(商品企画から製造、販売までを一貫して行う小売業)となった国内では異色のホームセンター大手、株式会社カインズの代表・高家正行氏。
前職、ミスミグループ本社でも経営者として手腕を発揮したことが知られている高家氏だが、はたしてどのような道のりを辿り、どのように歩みを振り返り、どうやって研鑽を重ねてきたのだろう。職業人生の比較的早い時期からプロ経営者を目指していた氏の、人物像に迫ります。
(聞き手:井上和幸)
◆頭取に感じた経営者としての全人格的な魅力
井上 慶応大学ご卒業後、都市銀行(三井銀行:当時)に入行されて。そもそも、経営に興味を持たれたうえでの就職先選択だったのでしょうか?
高家 社会に出たばかりの頃は、まだそこまでの強い志は持っていませんでした。経済学部に籍をおいていて、ゼミも財政金融論。先輩も金融業界に行く人が多かった。当時、都市銀行はまだ10行以上あって、正直なところ、‟金融=安定、高給”というイメージで入行した感じです。強いて言えば、「‟産業の血液”と言われる金融業界で、企業・産業を支えていく」ということに、使命感を持っていたというところでしょうか(笑)。
井上 そこから、「経営者になる、なりたい」と目線が上がって行った背景には、やはりバブルの崩壊を経験されたことも大きいのですか?
高家 バブル期には三井銀行の融資課で、企業にお金を貸す仕事を担当していました。相手にしていたのは、中小企業から自動車会社系列の大企業まで。バブルの崩壊とともに倒産した企業は、自分の担当企業の中にも残念ながらありました。そんな、栄枯盛衰を目の当たりにしたことは、確かに(経営者を目指すきっかけとしては)大きかったですね。
また、従業員組合の書記長になり、交渉のテーブルで頭取ら経営陣と向き合う立場になったんです。ちょっと異色な経験ですが、バブルがはじけて僕なりに銀行の将来を考え始めた時期だったので、銀行の経営者が何を考え、どのような経営をしているのかを間近で学ぶことができたのは貴重でしたね。
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