TOP 成功する経営者は皆、多読家。「TERRACEの本棚」 実用化目前! 精度9割の「線虫がん検査」を実現させた研究者兼経営者

2019/09/02

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第62回

実用化目前! 精度9割の「線虫がん検査」を実現させた研究者兼経営者

  • 組織
  • 経営
  • 光文社 新書編集部 副編集長 草薙麻友子氏

 

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成功する経営者は皆、多読家。
成功している経営者が注目している、読んでいる書籍をご紹介してまいります。
今回は、『がん検診は、線虫のしごと』。
本書の編集を手掛けられた、光文社の草薙麻友子氏に見どころを伺いました。

 

 

「線虫ががん患者の尿を高い精度で嗅ぎ分ける」
「線虫の嗅覚を活用した、がん検査が実用化」

 

経営者の方々は、健康管理には人一倍気を配っておられる方が多いと思います。ですから、すでに、このようなニュースをお聞きになった方もいるかもしれません。

 

とはいえ、それがどのくらいの意味をもつニュースかと言えば、よくある「○○大学研究チームが××を発見。◇年後には実用化を目指す」という、湧いては消えていく医療ニュースの1つとしか感じられないかもしれません。

 

が、このニュースに関しては違います。来年、つまり2020年には実用化予定。しかも、安価であることを活かして、検査は企業などの健康保険組合の定期健康診断に組み込まれる予定で、すでに先行予約だけでも数十万検査に上っているのです。

 

加えて驚くのは、検査の精度。なんとステージ0の段階から、9割の精度でがんを検知するといいます。腫瘍マーカーでは10%~50%程度の感度のものが多いようですから、それと比べると、驚異的と言えるでしょう。

 

そして、その検査の主役が、線虫。
がんの匂いと言えば、犬が嗅ぎ分けるという話は聞いたことがあるかと思いますし、また、病気には特有の匂いがあって、医師や看護師はそれに気づくことがあるとも言われます。

 

とはいえ、そんな能力を、実際に医療に役立てられるものだろうか、とも思うものです。

 

この本では、そんな不可能にも思えることをやってのけた、一人の研究者であり経営者でもある広津崇亮氏が、自身の歩みや経営者としての成長、今後の展望や夢などを、余すところなく伝えてくれます。

 

第1章、第2章では、がん検査そのものと、線虫という生物について語られます。ステージ0やステージ1の段階からがんを発見できるようになると、検査や治療はどう変わっていくのか。そして、実は「地球上で最も種類の多い生物」である線虫とは、いったいどんな生き物で、なぜ著者はこの生物を大役に抜擢したのか、といったことです。

 

この2つの章ももちろん面白いのですが、さらにわくわくするのは第3章以降です。著者の幼少期から研究者へ至る歩みや、一研究者を脱し経営者となってからの失敗や成長、そして自らの発見を実用化の段階にまでこぎ着ける過程が描かれています。

 

驚くのは、一度サントリーに就職してから舞い戻った大学院で、人生で初めて書いた論文が、あの『ネイチャー』に掲載されたということ。また、研究テーマの考え方も独特で、つねに「人間に応用したら何かが起こるかもしれない」「世の中を変えるかもしれない」という視点から考えるそうです。著者のま...

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プロフィール

  • 草薙麻友子氏

    光文社 新書編集部 副編集長

    週刊誌の編集を経て、2002年より新書編集部で新書の編集を担当。近日刊の担当書に『「マニュアル」をナメるな!――職場のミスの本当の原因』『死に至る病――あなたを蝕む愛着障害の脅威』(ともに光文社新書、9月中旬発売)がある。