TOP 社長を目指す方程式 上司を悩ます「できる・できない部下」の扱い方 誰に期待し何を任せるか

2019/08/20

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社長を目指す方程式

第20回

上司を悩ます「できる・できない部下」の扱い方 誰に期待し何を任せるか

  • キャリア
  • ビジネススキル
  • マネジメント

◆自己評価低過ぎ部下を飼い殺すな

逆に、こんな部下もいらっしゃると思います。

「いえいえ、そんな大役、私には務まりません」

「あんなに大きな案件、まだ私なんかには絶対に担当するのは無理です」

日本人にはこちらのタイプの方が出現率的には非常に多いですね。特に女性社員には多いと思います。

「インポスター症候群(Impostor syndrome)」とは、自分の力で何かを達成し、周囲から高く評価されても、自分にはそのような能力はない、評価されるに値しないと自己を過小評価してしまう傾向のことです。1978年に心理学者のポーリン・R・クランスとスザンヌ・A・アイムスによって命名されました。

上司のあなたから見れば、非常に良い仕事をしてくれている。確実に次のレベルのプロジェクトを担える土台ができている。リーダーとして、マネジャーとしてそろそろステージアップして欲しい。充分にそのような期待ができると思えるのに、なぜか本人は及び腰。

「いやいや、まだ無理です」。昇進昇格を断る。挙げ句の果てには、それが理由で退職を申し出てくる…(驚)。

インポスター(impostor)は詐欺師、ペテン師を意味する英語で、「詐欺師症候群」と呼ばれることもあるそうです。
この症候群にある人たちは、客観的に見て能力があることは明らかであるにもかかわらず、自分は<詐欺師>であり、成功には値しないという考えを持つそうです。たとえ今、自分が何かで成功できていたとしても、それは単なる幸運やタイミングによるものか、あるいは実際より能力があると他人を信じ込ませているだけだと自己認識しています。インポスター症候群は、特に社会的に成功した女性に多いとする研究もあるそうです。

なぜこうした思考に陥るかというと、

・完璧主義
・働き過ぎ
・自分の成果に対する過小評価
・失敗に対する恐れ
・賞賛を認めない

というような思考、行動、性格によるそうで、上司としてはこの辺りの本人の心の内を理解しておいてあげることが、非常に重要です。

プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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