2019/08/01
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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
第41回
自創型のまちづくり、7つの「べからず」と「肝」
- キャリア
- ビジネススキル
- 井手 修身氏 イデアパートナーズ株式会社 代表取締役、NPO法人イデア九州・アジア理事長
古い佇まいをそのまま生かし、陶芸やアート、食をカタチにしたい若者を誘致するというものだ。窯業と農業と観光が融合する拠点にするのだ。GCT研究会の副代表で、西海陶器社長の児玉盛介さんに提案した。児玉さんには任せる器量がある。
精鋭の陶芸家や。カフェレストランをやりたい、ギャラリーを営みたい、コーヒー豆ショップをやりたいという若者を見つけては、「まぁやってみろ」と背中を押した。若者たちはそれぞれ建物をリノベーションし、開業していった。西の原地区は、よみがえり、若い女性が訪れる拠点となっていった。
GCT研究会、朝飯会という場で、みんながやりたいことを共有し合う。すると、やりたい方向性の共感が生まれる。すると共感し合った仲間が、仲間を呼び、そこに協働が生まれる。デザイナーやプランナーなどいろんな人材がまじりあった結果、共創が生まれてくるのである。
10年で観光客が倍増
こうして波佐見町の観光客数は16年に100万人と、この10年で倍増したのである。お金からではなく、人材の誘致や動機づけから「新しいコト価値」が生まれる。現在、波佐見町には、2棟のB&Bホテルもでき、年間宿泊者が8万人にもなり、九州でも観光地の一つとして、取り上げられるようになった。- べからず(3):役所をあてにするな⇒ここが肝(3):最少の投資で、最小経費で、黒字運営する。
最初から、役所の予算や事業をあてにしてはいけない。飲食、カフェ、物販、ゲストハウス等、事始めの事業予算は、当初は、最少の投資額で、最小限の運営経費で賄っていく設計が大事。行政の予算や事業は、後から付いてくるもの。
- べからず(4):リーダーに依存するな⇒ここが肝(4):共有、共感、協働、共創が集まる場をつくる。
リーダーは大事だ。だが、まちづくりは一人に依存してはけない。「まちづくりは、よそ者、馬鹿者、若者」と、いうが、課題を抱え、解決したいという人が、数人集う場をつくることが大事である。他人がキラリと光る、活躍の出番をつくる場が必要だ。
- べからず(5):ボランティアに依存するな。⇒ここが肝(5):行動の源泉は、いきがい・やりがいと金銭的報酬の輪
行動の源泉は、本人のやりがいやいきがいになるかどうかが大事だが、もう一つは、関わった人の生業(なりわい)や副収入になること。ボランティアの精神は大事だが、継続するのは、金銭的報酬が大事である。
行政、住民、外部の人材、コンサルタント、専門家などのさまざまな力が適材適所で活用されて、地域のさまざまな課題が解決されることの一助になれば幸いである。
- ここが肝(1):地縁、信頼関係ができた専門家を活用する。
- ここが肝(2):その時その時の自分や周りが納得する解をつくる。
- ここが肝(3):最少の投資で、最小経費で、黒字運営する。
- ここが肝(4):共有、共感、協働、共創が集まる場をつくる。
- ここが肝(5):行動の源泉は、いきがい・やりがいと金銭的報酬の輪。
- ここが肝(6):本物・思考を徹底的に模倣すること。
- ここが肝(7):一人称マーケティング。「いいね!」の総和。
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■書籍情報
『リクルートOBのすごいまちづくり』
著者:かもめ地域創生研究所
出版社:世論社
価格:1,620円(税込)
※この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。
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