TOP ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術 現場リーダーに求められる「全体最適」の仕事術

2019/08/22

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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術

第43回

現場リーダーに求められる「全体最適」の仕事術

  • キャリア
  • ビジネススキル
  • 石原 正博氏 株式会社センターボード 代表取締役 全体最適化コンサルタント
 

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◆その頑張りはなぜ報われないのか

「自分は会社のためにやるべきだと思うこと、正しいと思うことを一生懸命やっているのにどうも報われていない」そういった現場の中堅リーダーの不満を聞くことがあります。   その理由は「部門間の壁」や「上層部との壁」、さらには「人間関係の壁」などいわゆる「組織の壁」に行く手を阻まれ、社内調整、根回し、資料作りで毎日振り回わされて一向に仕事が進まず、結果的に思うような成果に結び付かない、そういった答えが返ってくるのです。   一方で、この中堅リーダーが「壁」だと感じている他部門の社員や上層部の人達はどう思っているのでしょうか。

実際にその人たちに話を聞いてみたところ「決してほかの社員の仕事を妨害しようなど考えてもいないし、逆に自分も一生懸命会社のために正しいと思うことをやっているのに相手が言うことを理解してくれない」そんな答えが返ってくるのです。

 

このように双方の意見を聞いていると、どちらも「決して自分は間違っていない、正しいことをしている」といった主張の中で、実は「組織の壁」の正体は、お互いの「正しさ」どうしがぶつかり合い「正しさvs正しさ」といった対立関係によって生み出される、ということが分かってくるのです。

 

そして、この「正しさ」のぶつかり合いからくる「組織の壁」によって誰もが貴重な時間と労力を奪われ、さらに意思決定のスピードを遅らせたりビジネスチャンスを失ったりしながら企業の生産性に大きな影響を与え、その結果、現場の努力は水の泡となり、誰もが「頑張っているのに報われない」という状態を生み出してしまうのです。

 

◆日本企業は部分最適の集合体

このとても厄介な「組織の壁」ですが、この壁を作り出している「自分は正しいという判断」は別の言葉で言い換えるなら「自分最適」という言い方ができます。そしてそれぞれの「自分最適」が、組織全体から見ると「部分最適」になっていることによって、会社として「全体最適」となっていない非常に非効率な状態を作り上げているのです。

 

そして、この「部分最適」の問題は人や組織だけでなく企業を構成するさまざまな要素にも及んでいます。例えば、「会社の方針や戦略が絵に描いた餅になっている」「社内のシステム、仕組み、組織体制、人事制度、ルールなどが形骸化している」「改革活動がやらされ感になっている」といったように、人や組織以外の会社を構成しているありとあらゆるものが会社にとって必要なものであるにもかかわらず部分最適化し、企業の内部はまさに部分最適の集合体となり組織全体の生産性に悪影響を与えているのです。

 

◆いま求められているのは仕事を最適化できる人材

ではそういった部分最適の問題を解決し、全体最適化を図るためにはどうしたらいいのでしょうか。ここで鍵となってくるのが、社員一人一人が自分自身の働き方や日常業務を会社全体に最適化していくためのスキルや力を身に付けるということです。

 

経営トップが時々社員に対して「経営視点で物事を考えろ」「もっと全体観を持て」と言うことがありますが、この言葉が意味しているのは「会社が目指す目的、すなわち経営方針や戦略といったものを十分理解し、その目的実現のために今自分が正しいと思っていることは本当に正しいのか、本当にやるべき仕事は別にあるのではないかということを考え直してほしい」そういった問題提起がなされているのです。

 

プロフィール

  • 石原 正博氏

    石原 正博氏

    株式会社センターボード 代表取締役 全体最適化コンサルタント

    1969年東京都生まれ。1992年学習院大学法学部を卒業し、安田信託銀行入社。法人営業、企業年金制度コンサル、経営企画業務等を経験。2005年1月 スコラ・コンサルトに入社。大手企業を中心に20年間で500社を超える企業への支援を行い、組織を動かしていくノウハウを修得。2011年独立し株式会社センターボードを設立。著書に、『会社が生まれ変わる「全体最適」マネジメント』がある。

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