2019/07/05
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イマ、ココ、注目社長!
第34回
メンターに出会って本物の経営者へ 100年ビジョンを基に「令和時代のポスト・ホンダ」をめざす。【後編】
- 注目企業
- 経営者インタビュー
- 組織
- 経営
- 鳴海 禎造氏 glafit株式会社 代表取締役CEO
――「軸のところが全て」というのは、いろいろな経営者の方のお話を伺っていて、いつもその通りだと思います。大久保秀夫さんの私塾でのお話で、他に印象深いエピソードはありますか?
鳴海 「やり方編」のときに、ビジネスマッチング、今でいうオープンイノベーションによってスケールしていくモデルを各自が考えて発表する機会がありました。そんなとき、塾生たちは、何となくコンパクトに収まるようなアイデアでそれを発表したがるんですね。例えば、IT企業の人が、「アプリの開発企業と組んで云々……」といった発表をしたとします。それに対して大久保会長は、「そのアイデアはいいかもしれないが、本当にそれを世の中に拡げるなら、Googleと組むとか、Appleの標準サービスに持ち込むのはどうか?」といったようなフィードバックをされるわけです。みんなは一瞬ポカーンとしてから、「今うちの会社でそんなこと言っても無理ですよね?」と返すと、「なぜ無理なのか? 例えば、スティーブ・ジョブズなら、会ったときに相手の会社が大きいか小さいか、売上がどれだけあるかなど全く気にしないだろう。真の経営者とは、目の前に対峙している人の志、思いやビジョンに共感するのであって、相手のバックグランドではない。君たちは、なぜそこをもっと強く持たない? そこさえ強く持って、そこを磨けば、相手が誰だって関係ない。その事業の最適なパートナーを見つけてそこにぶつけたらいいんだよ」と。
――鳴海さんは、そのとき、どう思いましたか?
鳴海 本当かな、と思いました。正直、そんなことが通用するのかなと。大久保会長は、講義の中で著名な経営者をゲストに招き、お話を聞く機会もつくってくれました。ただ、よく言われたのが、「君たちが真剣に事業の企画を持ち込みたいと言うなら、企業の社長に会わせることはできる。しかし、今の君たちだったら一回会っても次はない」と。それは、私たち塾生と、そういった著名な経営者の方とでは、見ている時間軸や視野が違うからです。「そこをしっかり鍛えて、同じ時間軸や世界観の幅で話せるようになったら、絶対に思いは通じる」と言われていました。
商売は上手かったが経営者としては全く未熟だった20代。
――とはいえ、今年1月にはヤマハさんと資本業務提携を、2月にはパナソニックさんと電池分野における共同開発を発表されていますね。大手さんとの提携が現実化しているわけですが。
鳴海 実は、今回、大久保会長に言われたことを実践してみたんです。最初のきっかけは、どちらのケースも先方からメールをいただいたことです。若い担当者の方から「ちょっとお話を聞かせていただけますか」と。本当にただの取材のつもりでいらしたと思うんですが、私は、そこで自分の思いを徹底的に説いて、説いて、説き...
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